受贈図書
『戦争と萬葉集』第4号(戦争と萬葉集研究会)

小松靖彦氏よりいただきました。

戦争と萬葉集 第4号
編集・発行:戦争と萬葉集研究会(編集人・小松靖彦)
発行日:2022年2月23日
定価:非売品(お求めは、下記の公式サイト内「ご注文と問い合わせ」より)
判型・製本:A5判・並製
ページ数:108頁
ISSN:2434-5318

公式サイト:
https://manyogakushi122.wixsite.com/manyo


 日中戦争・太平洋戦争下、『萬葉集』を中心に、古典文学作品は大日本帝国政府と陸海軍によって戦意高揚のために政治利用された。しかし、それだけではなく、『萬葉集』などの古典文学作品は、戦争下の「国民」の「好戦」的表現の典拠として積極的に享受されると同時に、戦争を運命として受け容れざるをえぬ苦しみと諦めの「厭戦」的心情を託すものとなっていた。
 太平洋戦争敗戦後、日本古典文学研究は、戦争下の古典文学作品受容の歴史的な検討を十分に行わぬままに再出発した。敗戦から73年、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)による占領の終結から66年、沖縄復帰から46年を経た今日、戦争を直接体験した人々が少なくなり、戦争下の貴重な資料も未調査のまま散逸しつつある。しかも、2010年代に入り、経済的には自国優先主義が、政治的感情としてはナショナリズムが世界的に高まり、人々の間で過去の戦争を理性的に捉える目が失われつつある。
 戦争下における『萬葉集』を中心とする古典文学作品受容の全体像をあくまでも学問的立場から明らかにし、戦争と文学がいかなる関係にあるかを究明することが、専攻分野を超えて日本文学研究者に今まさに求められている。本誌はその責務を果たすべく創刊された。
(研究誌『戦争と萬葉集』創刊に当たって)


目次

「戦争の歌」を詠まないでいられた可能性
  ―前川佐美雄の場合―……石原深予
谷崎潤一郎と『万葉集』の時代……梅田径
土屋文明の「民謡」論……榎戸渉吾
日中戦時下における宮澤賢治テクストと『萬葉集』の受容
  ―その接点と差異を視座として―……張永嬌
中国訳萬葉集と一戸務
  ―「日支同文同種」論批判と関わって―……小松靖彦

戦争と萬葉集研究会活動報告……小松靖彦