受贈図書
高田信敬『文献学の栞』(武蔵野書院)

高田信敬氏よりいただきました。

文献学の栞
高田信敬 著
発行:武蔵野書院
発行日:2020年12月15日
定価:本体12,000円+税
判型:A5判・上製
ページ数:442
ISBN:978-4-8386-0738-9

公式サイト:
https://www.musashinoshoin.co.jp/shoseki/view/2660/%E6%96%87%E7%8C%AE%E5%AD%A6%E3%81%AE%E6%A0%9E


本書では、源氏物語から江戸明治の文献を取り扱う。

先学の記述にならって文献学中の二つの柱、文献の具体的吟味と文献の実際的使用を、第一部「典籍叢説」と第二部「訓詁注釈の試み」に振り分け、それぞれに有縁の考証を配した。
作品の言葉を相手とし言葉によって研究を形にする以上、国文学の研究者もまた、言葉の徒でなくてはならない。
文献学の高い目標、少なくともその一つは、文献の適切な理解・歪みのない解釈にあるのではないか。

目次

いとぐちのふみ

〔第一部 典籍叢説〕
Ⅰ 書誌酢豆腐譚
 1 押発装のこと─まず表紙から─
 2 針目安─書誌学用語の新鋳─
 3 偽跋の書き方─用例を遡る─
 4 本朝誤植之起源─古活字版管見─
 5 校勘の言葉─異本・他本をめぐって─

Ⅱ 書物の森
 1 五山版の覆刻例─賃と賛と─
 2 本居宣長の抗議文書─『古今集遠鏡』異聞─
 3 『紫式部日記絵巻』変奏─寺崎広業の仕事と模刻本と─
 4 二つの雛源氏─墨刷り版・彩色版─
 5 不徳を数える─『海国兵談』の異同─
 6 『東湖遺唫』の「闕畫」─山田俊雄先生に─
 7 慶応版『神皇正統記』について─闕画の裾野─
 8 同名異書二つ─『滑稽百人一首』の場合─
 9 本文と引用と─『開元天宝遺事』ことはじめ─

Ⅲ 古筆切の難しさ
 1 定家本の模写─伝一条教房筆四半切─
 2 伝漸空上人筆倭名類聚抄断簡─粘葉装の十巻本─
 3 道元禅師自筆道正庵切贅説─復元の試み─
 4 室町時代の『万葉集』享受─伝宗全筆四半切─
 5 松のけぶり─墨から切へ─

Ⅳ 近代の資料
 1 帝国大学講師夏目金之助の直訴状─岩波版全集小修正─
 2 尾形月耕の工夫─明治出版文化一斑─
 3 榊原芳野の涙─『思ひよる日』管見─
 4 馬鹿ものどもめが馬鹿吐いた─『椀久物語』原稿─

〔第二部 訓詁注釈の試み〕
Ⅰ 異解条々
 1 日本紀竟宴和歌箋註─「染」の訓
 2 印を捺す─平安時代の言葉─
 3 横笛の音─故実読み瑣談─
 4 辞書難─三跡のことなど─
 5 かへなし─用例をどう読むか─
 6 ほうしやうがかたなにひをぞながうかいたる─謎解き一つ─
 7 玉に瑕─『花鳥余情』の異文─

Ⅱ 考証一束
 1 賀茂祭の風流─『土左日記』享受史一片─
 2 五節の過差─『竹むきが記』箋註─
 3 鵜の真似─文集余談─
 4 狗の尾七条─一本書拾遺─
 5 猫の皿遡源─当代めづらしき唐物─
 6 年齢をどのように表記するか─「旬」と「ぢ」と─

〔付録〕
 擁書楼日記典籍一覧稿─考証の礎石一つ─

備忘(初出一覧)
書後
引用書目索引