受贈図書 栗原敦『宮沢賢治探究』上・下(蒼丘書林)

栗原敦氏よりいただきました。

 

宮沢賢治探究 上 思想と信仰

宮沢賢治探究 下 表現の論理
栗原 敦 著

発行:蒼丘書林

発行日:上 2021年7月20日、下 2021年8月1日

定価:各本体3,500円+税

判型・製本:四六判・上製

総ページ数:上 480、下 464

ISBN:上 978-4-915442-03-2、下 978-4-915442-04-9

時代環境への注視と綿密な調査を基盤とする著者多年の宮沢賢治研究のエッセンスを二書に集成。
【上】巻には、賢治の人と作品の基底をなす思想・信仰に関する論、書簡や交友についての研究秘話を含む重要な考察・考証、および周辺資料探索等を収録。
【下】巻には、表現過程論の提示、童話・詩作品を中心とする論考、伝記・作品解釈・研究上の諸課題をめぐる考察と提言ほか、上巻に続き周辺資料探索等を収録。


目次

はじめに

Ⅰ 思想と信仰
1 宮沢賢治のフィロソフィー 詩(心象スケッチ)と宗教
2 二〇世紀の意味における宮沢賢治の意味の一側面
3 世界的だなどといふことは…宮沢賢治と草野心平、高村光太郎
4 ファンタジーの効用と限界
5 我らのペムペルとネリはいったいどこまで行けるだろうか
6 賢治と近代の表現者・夏目漱石 浩々洞、オストワルド、ジェイムズなど
7 宮沢賢治の仏教とはどのようなものであったか 法華経との出会いまで
8 宮沢賢治の「〈在家〉仏教」とはどのようなものであったか
9 〈禁欲〉の行方
10 粗描・宮沢賢治の生涯 創作と信仰を軸に
11 「賢治像」の形成 《宗教》的側面から

Ⅱ 書簡と事蹟 探究と考証
1 書簡から見えてくるもの 賢治世界観の展開
2 表記と用字、あるいは時期推定書簡存疑 『新校本宮澤賢治全集』書簡集編集作業から
3 手紙の読み方 伊藤与蔵あて宮沢賢治書簡について
4 岩波茂雄あて賢治書簡・異論
5 高村光太郎のために
6 「〔雨ニモマケズ〕」のモデル問題について
7 「詩之家」と宮沢賢治 二、三の接点をめぐって
8 宮沢賢治と〈中国〉
9 阿部治三郎牧師・花巻教会(浸礼・バプテスト)関係者と賢治
10 小倉豊文先生を偲ぶ

Ⅲ 資料と研究・ところどころ 上
1 小倉豊文の最晩年の論考のこと、日雇のこと
2 「時期推定書簡存疑」のうち
3 入沢康夫さんを偲びつつ
4 「校本全集」で発表できなかったこと・小沢俊郎さんからうかがった話
5 「きみにならびて野にたてば—賢治の恋」の〈詩〉読解のこと
6 宮澤助五郎さんからご教示いただいたこと
7 宮沢賢治の読んだ本など
8 宮沢賢治の「大乗起信論」など
9 慈雲尊者『十善法語』のこと
10 啄木会と宮沢賢治
11 「労農党」のこと
12 七面講、金野英三関係資料のこと
13 「〔熱とあへぎをうつゝなみ〕」の「おんめがみ」のこと
14 竹中久七あて書簡下書と「党の芸術問題テキスト」のことなど
15 「奥田さんの宿題」のうち
16 奥田弘先生の存在
17 阿部晁「家政日誌」のこと・1
18 阿部晁「家政日誌」のこと・2
19 Shūzo Takataのこと
20 国柱会関連の研究状況について
21 『国訳妙法蓮華経』贈呈類別記号のこと

Ⅳ 拾遺 初期論考
1 共同体・自然・信仰〔上〕 宮沢賢治論(三)
2 「心象」の源流

【作品の魅惑・抄】
尽きることのない魅力/年譜のこちら側/〈美しいもの〉/眼差しの往還/すべてさびしさと悲傷とを焚いて…/願いのせつなさと物語る楽しさと

あとがき


はじめに

Ⅰ 表現の論理
1 表現過程論の試み 組版印刷から見えるもの、宮沢賢治の草稿と表現過程
2 賢治の手帳・ノート
3 敗戦後における多様なテキストによる受容 「校本全集」まで
 ■童話・散文探究
4 夢と起源の物語 『注文の多い料理店』
5 なぜ軽便鉄道か 「銀河鉄道の夜」・理念と方法の序
6 意識的と無意識的と 「銀河鉄道の夜」に触れて
7 「銀河鉄道の夜」最終形の生成と「〔或る農学生の日誌〕」 夢・現実・軌道の交錯
8 「ポラーノの広場」論のために 現実の中の争闘から
9 「風の又三郎」雑志
10 保阪嘉内「社会と自分」と宮沢賢治「大礼服の例外的効果」の間
 ■詩探究
11 宮沢賢治の短歌 短歌に始まる
12 テキストクリティーク、もうひとつの『春と修羅』
13 歌・口語・文語 昭和三年の宮沢賢治
14 賢治詩の双頭双尾 口語ヴァージョンと文語ヴァージョンを分かつもの
15 宮沢賢治と詩 〈文語詩〉の位置
16 「永訣の朝」
17 「樺太鉄道」
18 「〔月の鉛の雲さびに〕」
19 「五輪峠」
20 宮沢賢治と黄瀛 詩的邂逅の意義

Ⅱ 資料と研究・ところどころ 下
1 「大ぐまのあしを きたに」や「石炭袋」など
2 辞典・事典のこと
3 「死霊寺」の怪
4 年譜のうちそと
5 雪迎えのこと
6 「濁密」事情
7 北川太一さんの近著から
8 「奥田さんの宿題」のうち、また
9 「生徒諸君に寄せる」の行方
10 「疾中」詩篇の範囲(〈S博士〉問題の本当の深層)のこと
11 文語詩未定稿「丘」詩碑(碑面)のこと
12 『宮沢賢治コレクション』と作品の読み(振り仮名)のことなど
13 「奥稲荷」のこと——あわせて『小田島其山追憶集』のこと
14 同封されたある詩人の手紙のことなど
15 次妹の場所
16 岩田シゲ回想録のひとこま、イチさんの「宝塚少女歌劇」観劇
17 宮沢クニ「兄”賢治”」のこと
18 方面委員とはどのようなことをするものか、各種調停委員の功労者・宮沢政次郎

Ⅲ 拾遺 追悼文・論考補遺
1 小倉先生を偲んで
2 宮沢清六さんへの感謝
3 大橋冨士子さんへの感謝
4 吉本隆明さんのこと
5 入沢康夫さんの大恩に感謝して
6 労苦と嘆息
7 年譜の向こう側
8 宮沢賢治研究・生誕百年前後寸描
9 成熟か拡散か 『新校本宮澤賢治全集』別巻を刊行して思うこと

【作品の魅惑・抄】
ブドリが果たしたこと/ユーモアの慈愛/豚と虔十が残したもの/「鹿踊りのはじまり」と「耕耘部の時計」の間/〈悪魔〉のいざない/〈美しい文章〉のこと、「さらさら」の秘密/〈心象宙宇〉を截る鳥/「稗貫農学校精神歌」「花巻農学校精神歌」口語訳注のこと/「生きつづける賢治」のこと

あとがき