検証戦争に加担した日本文学 1
支配される文学のことば 
小松靖彦 編

9月刊行予定
定価:5,940円(10%税込)
A5判・上製・336頁
ISBN:978-4-86803-024-9

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内容紹介著者紹介目次

告発でも擁護でもない、これからのための歴史的検証。

戦時下において文学、文学者たちに何が起きていたのか。
国内外37名の研究者・文学者・ジャーナリストの調査によって学問的に明らかになる。

本巻では、『萬葉集』のことばが戦争下に日本国民の間でどのように受容されたかを明らかにする。


全3冊、同時刊行!
1 支配される文学のことば *本巻
2 戦中から戦後への〈切断=連続〉
3 ソフト・パワーとしての〈萬葉集〉

小松 靖彦  こまつ やすひこ *編者

青山学院大学文学部日本文学科教授。

専門は日本文学(特に『萬葉集』および萬葉学史)、書物学、文学交流。

主な著書に『萬葉学史の研究』(おうふう、2008年〈2刷〉、上代文学会賞、全国大学国語国文学会賞受賞)、『万葉集 隠された歴史のメッセージ』(角川選書、KADOKAWA、2010年)、『万葉集と日本人 読み継がれる千二百年の歴史』(角川選書、KADOKAWA、2014年、古代歴史文化賞優秀作品)、『戦争下の文学者たち 『萬葉集』と生きた歌人・詩人・小説家』(花鳥社、2021年)など。

戦争と萬葉集研究会(2016~2023年)、文学交流研究会(2024年~)を主宰。


収録順

内村 文紀  うちむら あやのり
青山学院大学大学院博士後期課程

柳井 貴士  やない たかし
愛知淑徳大学准教授

高橋 美織  たかはし みおり
昭和女子大学非常勤講師

高橋 憲子  たかはし のりこ
早稲田大学古典籍研究所招聘研究員

中西 亮太  なかにし りょうた
歌人

長尾 崇  ながお たかし
早稲田大学大学院修了・文学修士

梅田 径  うめだ けい
帝京大学専任講師

西澤 駿介  にしざわ しゅんすけ
青山学院大学大学院博士後期課程

渡部 麻実  わたなべ まみ
日本女子大学教授

大石 紗都子  おおいし さとこ
武蔵野美術大学准教授

河路 由佳  かわじ ゆか
杏林大学特任教授

村田 裕和  むらた ひろかず
北海道教育大学旭川校教授

本書の読者へ
全3巻の構成
シリーズ1について

第1章 戦争に利用された『萬葉集』のことば

《ますらを》の内在化——『萬葉集』の「ますらを」と戦争短歌におけるその受容——小松靖彦
大伴氏の言立て「海行かば」の成立と戦争下における受容——その表現および戦争短歌を通じて——小松靖彦
菊池寛と「海ゆかば」―同名の戯曲を中心に——内村文紀
沖縄において歌唱された「海ゆかば」をめぐって柳井貴士
戦時下『少女倶楽部』の短歌欄——少女たちの「みたみわれ」——高橋美織
[聞き書き報告]乙女たちの「海ゆかば」(顧みはせじ)高橋憲子

第2章 言論統制と古典

戦時下の言論統制と万葉集中西亮太
源氏物語と「不敬」——劇上演禁止事件と国定教科書論争を中心に——長尾崇

第3章 戦争下の『萬葉集』受容のかたち

谷崎潤一郎と『万葉集』の時代梅田径
大西克禮論——『萬葉集の自然感情』をめぐって——西澤駿介
堀辰雄の『萬葉集』受容に関する総合的研究——旧蔵書調査を中心として——渡部麻実
堀辰雄と戦時下の『萬葉集』——なぜ『萬葉集』に魅せられたのか——大石紗都子
日本学術振興会『英訳萬葉集』(一九四〇)の〈和文草稿〉をめぐる考察河路由佳
紀元二六〇〇年の石油賀歌——小野十三郎「石油富士」「神話」をめぐって——村田裕和
[資料紹介]菊池寛「話の屑籠」における『萬葉集』関連表現内村文紀
[資料紹介]戦時下の今井福治郎―四冊の著作 付、略歴・主要著作目録高橋美織

[巻末資料]堀辰雄の『萬葉集』受容に関する総合的研究——旧蔵書調査を中心として——渡部麻実

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