検証戦争に加担した日本文学 3
ソフト・パワーとしての〈萬葉集〉
小松靖彦 編
9月刊行予定
定価:5,940円(10%税込)
A5判・上製・372頁
ISBN:978-4-86803-026-3
告発でも擁護でもない、これからのための歴史的検証。
戦時下において文学、文学者たちに何が起きていたのか。
国内外37名の研究者・文学者・ジャーナリストの調査によって学問的に明らかになる。
本巻では、近代日本の植民地や占領地・統治地域での『萬葉集』を中心とする日本文学の流布・移植の実態を解明する。
また、近代の軍人・軍隊と日本文学の関わりについても考察する。
全3冊、同時刊行!
1 支配される文学のことば
2 戦中から戦後への〈切断=連続〉
3 ソフト・パワーとしての〈萬葉集〉*本巻
小松 靖彦 こまつ やすひこ *編者
青山学院大学文学部日本文学科教授。
専門は日本文学(特に『萬葉集』および萬葉学史)、書物学、文学交流。
主な著書に『萬葉学史の研究』(おうふう、2008年〈2刷〉、上代文学会賞、全国大学国語国文学会賞受賞)、『万葉集 隠された歴史のメッセージ』(角川選書、KADOKAWA、2010年)、『万葉集と日本人 読み継がれる千二百年の歴史』(角川選書、KADOKAWA、2014年、古代歴史文化賞優秀作品)、『戦争下の文学者たち 『萬葉集』と生きた歌人・詩人・小説家』(花鳥社、2021年)など。
戦争と萬葉集研究会(2016~2023年)、文学交流研究会(2024年~)を主宰。
■収録順
チトコ=ヂュープランティス マウゴジャタ・カロリナ Małgorzata K. Citko-DuPlantis
テネシー大学助教授
白石 佳和 しらいし よしかず
松蔭大学教授
井浪 真吾 いなみ しんご
京都外国語大学講師
佐藤 織衣 さとう おりえ
青山学院高等部教諭
孫 世偉 そん せい
桜美林大学准教授
河路 由佳 かわじ ゆか
杏林大学特任教授
朴 光賢 ぱく ぐぁんひょん
東国大学校国文学科教授
朴 賢率 ぱく ぴょんそる
青山学院大学卒業
張 永嬌 ちょう えいきょう
上海大学外国語学院日本語学部講師、千葉大学大学院社会科学研究院特別研究員
松澤 俊二 まつざわ しゅんじ
桃山学院大学准教授
梅田 径 うめだ けい
帝京大学専任講師
木下 宏一 きのした こういち
九州大学研究員、防衛省部外講師
雲龍 櫻子 うんりゅう さくらこ
昭和女子大学大学院修了生
韓 京子 はん きょんじゃ
青山学院大学教授
全3巻の構成
シリーズ3について
第7章 ソフト・パワーとしての〈萬葉集〉という概念・ブランド
大日本帝国内・外における「日本」のイメージ——ソフト・パワー(soft power)としての『万葉集』——◉チトコ=ヂュープランティス マウゴジャタ・カロリナ
戦時中の「熱帯季題」論再燃——台湾、ブラジル、南洋の俳句——◉白石佳和
石井庄司と『萬葉集』から◉井浪真吾
[資料紹介]旧外地国語教科書における『萬葉集』および日本古典文学◉佐藤織衣
第8章 日本統治下台湾における『萬葉集』
日本統治下台湾の国語教科書における『万葉集』記述について——昭和一二年以降の第四期並びに第五期教科書を中心に——◉孫世偉
日本統治下の台湾における 〈萬葉集〉教育と〈台湾萬葉集〉の誕生——呉建堂と伴走者としての犬養孝——◉河路由佳
第9章 日本統治下朝鮮から考える
植民地朝鮮への「国文学」の移植と高木市之助◉朴光賢
植民地朝鮮における高木市之助◉小松靖彦
[資料紹介]日本統治下朝鮮の国語教科書(架蔵)について◉朴賢率
第10章 中国からのまなざし
日中戦時下における宮澤賢治テクストと『萬葉集』の受容——その接点と差異を視座として——◉張永嬌
中国語訳萬葉集と一戸務——「日支同文同種」論批判と関わって——◉小松靖彦
第11章 軍隊と文学
日清・日露戦争と短歌表現——その社会的意義また「新派」の誕生について——◉松澤俊二
日露戦争と軍人の風流——『風俗画報』「征露図会」特集号における「韜略の余事」をめぐって——◉梅田径
大正・昭和期海軍における古典的武士道論の受容——安岡正篤の海軍大学校出講を一淵源として——◉木下宏一
陸軍教育における『萬葉集』——陸軍幼年学校・陸軍予科士官学校の「国語教程」と学習資料から——◉小松靖彦
[資料紹介]大日本帝国陸海軍国語教科書総覧稿——陸軍幼年学校・陸軍予科士官学校編——◉小松靖彦
[資料紹介]伊号第二九潜水艦艦内誌「不朽」について◉雲龍櫻子
[資料紹介]「海ゆかば」と新作文楽◉韓京子
初出一覧
編集覚え書き