連環する歴史物語 
叙述方法と成立環境 
中瀬将志 著

1月刊行予定
定価:9,350円(10%税込)
A5判・上製・308頁
ISBN:978-4-86803-028-7

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内容紹介著者紹介目次

作品間の連続性・非連続性を問う。

『大鏡』・『栄花物語』続編・『今鏡』の叙述は、先行作品の叙述や同時代の諸言説とどのような関係性をもつのか。思想背景や政治状況をも踏まえて比較検討。各作品の固有性を明らかにするとともに、歴史物語の史的展開を跡づける。


本書第Ⅰ部では『大鏡』を、第Ⅱ部では『栄花物語』続編・『大鏡』後日物語・『今鏡』を主に取り上げたが、一貫して、歴史物語の叙述と、先行する様々な作品・言説や同時代の人間関係・政治状況の関係について検討し、各作品の固有の性格を浮かび上がらせることを試みた。『大鏡』・『栄花物語』続編・『今鏡』それぞれの叙述方法や成立環境を考究する中で、作品間の連続性・非連続性も明らかになるだろう。各々の歴史物語の書き手は、過去の事象をどのように意味づけ、過去と現在、さらには未来との関係をいかに描こうとしたのか。作品の内外を往還しながら、歴史物語の世界に分け入っていきたい。(「序」より)

中瀬 将志(なかせ まさし)

1988年 三重県に生まれる
2011年 三重大学教育学部卒業
2016年 神戸大学大学院人文学研究科博士課程後期課程修了
    博士(文学)
現 在 高知県立大学文化学部講師

 凡例

第Ⅰ部 『大鏡』の思想基盤と成立環境

第一章 藤原道長の人物造型
はじめに
一 道長と「才」(一)―公任との関係をめぐって―
二 道長と「才」(二)―伊周との関係をめぐって―
三 道長の和歌
おわりに

第二章 菅原道真の人物造型
はじめに
一 道真の詩歌
二 文人貴族の道真観
三 道真像の多面性
おわりに

第三章 花山院・花山朝の位置づけ
はじめに
一 花山院と「才」
二 花山院と義懐・惟成
三 「儒者弁」の歴史認識
おわりに

第四章 花山院・花山朝の位置づけ追考
はじめに
一 花山院と「王威」
二 醍醐・朱雀朝の「王威」
三 道長の「威」
四 花山院評価の二重性
おわりに

第五章 「源氏の栄え」について
はじめに
一 源師房の位置づけ
二 倫子・彰子から禎子内親王へ
三 「三条院の御末」へのまなざし
おわりに

第六章 東宮退位の記憶
はじめに
一 敦明親王と尊仁親王
二 実仁親王の後見
三 後見不在の東宮の系譜
おわりに

付章 実仁親王の周辺

第Ⅱ部 『栄花物語』続編から『今鏡』へ

第一章 『栄花物語』の「例」
はじめに
一 『栄花物語』正編における「例」(一)―醍醐朝から一条朝まで―
二 『栄花物語』正編における「例」(二)―三条朝以降―
三 『栄花物語』続編における「例」
おわりに

第二章 閑院流と御堂流
はじめに
一 『大鏡』の閑院流関連記事
二 『栄花物語』の閑院流関連記事(一)―後一条朝から後冷泉朝まで―
三 『栄花物語』の閑院流関連記事(二)―後三条朝以降―
おわりに

第三章 源基子と桐壺更衣
はじめに
一 基子への寵愛をめぐる叙述
二 後三条天皇の「御心」
三 後三条院崩御の後
おわりに

第四章 『栄花物語』巻第四十攷
はじめに
一 白河院の存在感
二 後宮をめぐる叙述の欠如
三 「藤氏の后」の不在と「春日の神」の加護
おわりに

第五章 『大鏡』後日物語攷
はじめに
一 世継の語りとの連続性・非連続性
二 後朱雀朝の後宮をめぐる叙述
三 後日物語と『今鏡』
おわりに

第六章 媞子内親王・令子内親王と歴史物語
はじめに
一 『栄花物語』続編における媞子内親王
二 『今鏡』における媞子内親王・令子内親王
三 令子内親王と『大鏡』後日物語
おわりに

第七章 『栄花物語』続編と『今鏡』
はじめに
一 媒介としての「いかばかり」の歌
二 道長と忠通・基房
三 藤原氏の「栄え」と平氏の「栄え」
おわりに

 初出一覧
 あとがき
 索引(人名・書名)

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