はじめて読む 源氏物語  
藤原克己 監修/今井上 編

2020年1月30日発行
定価:本体1,800円+税
A5判・並製・216頁
ISBN:978-4-909832-15-3
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日本文学究極の傑作を人生のパートナーに。
光源氏の人生をわかりやすく見通せる『源氏物語』入門。

選り抜きの名場面や重要な一節を取り上げて鑑賞しながら、物語の大きな流れと読みどころをわかりやすく解説。
恋と冒険、出会いと別れ、親睦と裏切り、誤解やすれ違い、夢や予言や陰謀まで、多くの話題が複雑に絡み合う物語を味わうための道案内。

「光源氏の超人的な資質やその多彩な女性関係にしても、近代小説のリアリズムの物差しを当てて不自然だとか不道徳だとか非難するのは、見当違いというものではないでしょうか。光源氏とのふれあいを通してこそ、さまざまな男女の心と人の世のありさまが、四季折々の情趣とともに、物語的〈ロマネスク〉に織りなされてゆくのですから。本書は、『源氏物語』から選り抜きの名場面や重要な一節を取り上げて鑑賞しながら、物語の大きな流れと、より深く読み味わうための留意点や必要な知識などをわかりやすく解説しています。また『源氏物語』には漢詩文の引用も多く、それが物語世界の奥行を深めていますので、とくに司馬遷〈しばせん〉の『史記』と、「長恨歌」をはじめとする白居易〈はくきょい〉の詩の引用については、やや詳しく解説しています。複雑な物語世界を見通しやすくするために、物語の本流の解説に重点を置いて、支流の物語は(そこにも本流に関わる重要な問題や名場面がたくさんあるのですが)、「ダイジェスト」で概説するに留めました。また光源氏没後の物語、いわゆる続篇も割愛しました。しかしそうした割愛と引き換えに、本書はこの分量としては望みうる最良の、充実した入門書となっていると自負しています。」…「監修者のことば」より


書評紹介

「読売新聞」(2020年2月2日付)「読書情報」
「図書新聞」(2020年5月2日発行、6面)【評者 西原志保氏】


目次

監修者のことば
凡例

1 桐壺巻―物語のはじまり

光源氏の父と母
桐壺更衣と楊貴妃・白居易への挑戦
藤壺の登場
高麗の相人の観相・光源氏の臣籍降下
光源氏十二歳の元服と結婚

ダイジェスト1 帚木三帖

2 若紫巻―紫の上と藤壺

紫の上との出会い・女性の髪
藤壺にそっくり
藤壺と光源氏の逢瀬
光源氏と藤壺の和歌の贈答
紫の上と継母
二条院での紫の上の幸せ

ダイジェスト2 末摘花巻

3 紅葉賀・花宴巻―光源氏 青春の恋

紅葉と花・一対の物語
紅葉賀・青海波の舞
藤壺の出産
花宴・朧月夜との出逢い

4 葵・賢木巻―波乱の予感

葵祭の車争い
生霊出現・六条御息所の苦悩
あやしき芥子の香
野宮の別れ
源氏と紫の上の新枕
桐壺院の崩御と藤壺
雲林院での光源氏
光源氏の発見・ふたたび「秋の一夜」
藤壺の出家
朧月夜との密会の露見

ダイジェスト3 花散里巻

5 須磨・明石―流離と復活

須磨の生活
八月十五夜・白居易や道真のように
突然の暴風雨・夢に現れた桐壺院
明石の君との出会い
帰京した光源氏

ダイジェスト4 澪標・蓬生・関屋巻

6 絵合・松風巻―新たな宮廷秩序

平安貴族と絵合せ
藤壺御前の絵合せ
冷泉帝御前の絵合せ
明石から大堰へ・明石一家の離別と繁栄への一歩

7 薄雲・朝顔巻―藤壺退場

明石の君と姫君の別れ
藤壺の崩御と退場
冷泉帝がついに秘密を知る
紫の上の据え直し

8 少女巻―物語の転換点

紫の紙の立文・朝顔の姫君との恋の終わり
美の殿堂・六条院落成
浅葱のナゾ・夕霧の恋
「饒舌」になった光源氏の説得力
才と大和魂
幼な恋と「待つ男」

ダイジェスト5 玉鬘十帖

9 梅枝・藤裏葉巻―栄華の完成

明石の姫君の入内準備
光源氏の仮名批評
夕霧への訓戒
夕霧の恋の顚末
明石の姫君の入内・紫の上の地位
光源氏は、ついに准太上天皇に
六条院行幸
大団円のそのあとに

10 若菜巻―老年の光源氏

女三の宮を光源氏に託す朱雀院
すれ違う光源氏と紫の上
すれちがう歌と歌
光源氏の述懐と女楽
柏木と女三の宮の密通

11 柏木・横笛巻―不義の連鎖

柏木と光源氏
柏木の訴え・女三の宮からの手紙
薫の出生と柏木の死
薫を抱く光源氏
光源氏の自嘲と薫の将来
夕霧の恋の始まり・横笛の伝授

ダイジェスト6 鈴虫・夕霧巻

12 御法・幻巻―紫の上と光源氏の退場

死期が迫る紫の上
法華経千部供養
紫の上の臨終
紫の上を哀悼する光源氏
光源氏の退場・文を焼く

コラム たのしい『源氏絵』の世界
主要人物紹介

あとがき
執筆者紹介


監修者

藤原 克己(ふじわら・かつみ)
1953年、広島市に生まれる。東京大学大学院博士課程中退。博士(文学)。岡山大学、神戸大学、東京大学教授を経て、現在、武蔵野大学特任教授、東京大学名誉教授。
著書に『菅原道真 詩人の運命』(ウェッジ選書)、共著に『日本の古典―古代編』(放送大学教育振興会)、『源氏物語 におう、よそおう、いのる』(ウェッジ選書)、論文に「『源氏物語』と『クレーヴの奥方』―ロマネスクの諸相」(柴田元幸編『文字の都市』、東京大学出版会)などがある。

編者

今井 上(いまい・たかし) 1973年生まれ・専修大学教授
『源氏物語 表現の理路』(笠間書院、2008年)、『文学トレーニング古典編』(三省堂、2013年)、「『源氏物語』研究の現在」(『国語と国文学』2018年5月) ほか。

執筆者

青島 麻子(あおしま・あさこ)1982年生まれ・聖心女子大学専任講師
『源氏物語 虚構の婚姻』(武蔵野書院、2015年)、「『落窪物語』における婚儀」(『国語と国文学』 2017年9月)、『学びを深めるヒントシリーズ 源氏物語』(明治書院、2019年)ほか。

東 俊也(あずま・としや)1975年生まれ・武蔵高等学校中学校教諭
「寝覚の上の心」(『国語と国文学』2004年1月)、「浮舟物語と贈答歌」(『むらさき』2005年12月)ほか。

金 静熙(キム・ジョンヒ)1973年生まれ・嘉泉大学校研究教授
「浮舟巻の表現構造」(『国語と国文学』2010年9月)、『日本文化の連続性と変化』(亦楽・ソウル、2018年)、「漢籍の引用と物語の構成」(『日語日文学研究』2018年5月)ほか。

金 秀姫(キム・スヒ)1970年生まれ・漢陽女子大学教授
『空蝉物語の「いとなつかしき人香」考』(『むらさき』、2000年12月)、「浮舟物語における嗅覚表現 「袖ふれし人」をめぐって』(『国語と国文学』2001年1月)、「古今集の感覚」(『古今和歌集研究集成』第二巻、風間書房、2004年)、「「嗅覚」 と「言葉」」(『薫りの源氏物語』、翰林書房、2008年)ほか。

栗本 賀世子(くりもと・かよこ)1981年生まれ・慶應義塾大学准教授
『平安朝物語の後宮空間』(武蔵野書院、2014年)、「桐壺の一族」(『古代文学論叢』20 輯、武蔵野書院 、2015年)、「花散る里の女御」(『源氏物語 煌めくことばの世界Ⅱ』、翰林書房、2018年) ほか。

中西 翔(なかにし・しょう)1983年生まれ・麻布中学校高等学校教諭
「『色好み』の再検討」(『むらさき』47、2010年12月)、「日常の学習におけるアクティブ・ラーニング」(『麻布中学校・高等学校紀要』4、 2016年3月)ほか。

林 悠子(はやし・ゆうこ)1982年生・東京大学特任研究員
「浮舟物語の時間試論」(『文学』2015年1月)、「源氏物語の「年ごろ」と「月ごろ」」(『源氏物語 煌めくことばの世界Ⅱ』翰林書房、2018年)ほか。

松野 彩(まつの・あや)1976年生まれ・国士舘大学准教授
『うつほ物語と平安貴族生活』(新典社、2015年)、「秋好中宮の童女」(『歴史のなかの源氏物語』思文閣出版、2011年)、「『篁物語』「橡の衣」についての考察」(『国士舘人文学』2019年3月) ほか。

尹 勝玟(ユン・スンミン)1971年生まれ・韓国外国語大学非常勤講師
「八の宮の遺言の多義性」(『国語と国文学』2009年1月)、「浮舟物語の方法」(『むらさき』2009年12月)、「『源氏物語』アイロニー考」(韓国外大日本研究所『日本研究』2017年12月) ほか。

吉田 幹生(よしだ・みきお)1972年生まれ・成蹊大学教授
『日本古代恋愛文学史』(笠間書院 、2015年)、「高麗の相人の言葉をめぐって」(『国語国文』2016年12月)、「雨夜の品定め」の射程」(『成蹊国文』2018年3月)ほか。

李 宇玲(リ・ウレイ)1972年生まれ・中国同済大学教授
『古代宮廷文学論』(勉誠出版、2011年)、「かいまみの文学史 平安物語と唐代伝奇のあいだ」(『アジア遊学』2016年6月)、「『源氏物語』と「秋興賦」」(『国語と国文学』2019年12月)ほか。