「上代のことばと文字」入門
上代文学研究法セミナー
瀬間正之 編
2020年1月31日発行
定価:1,980円(10%税込)
A5判・並製・112頁
ISBN:978-4-909832-31-3
漢字を構成する三要素、〝字形・漢字音・字義〟を理解するために——
『古事記』『日本書紀』『万葉集』『風土記』をはじめ、上代文学作品は漢字のみで記されています。
〈読む〉ためには漢字を理解できていなければなりません。
基礎知識とその運用法、工具書とその使用法を解説します。
編者
瀬間 正之(せま・まさゆき)上智大学教授
上智大学文学部教授。博士(文学)。
著書に『記紀の表記と文字表現』(おうふう)、『風土記の文字世界』(笠間書院)、『記紀の文字表現と漢訳仏典』(おうふう)、『古事記音訓索引』(編・おうふう)、『電脳国文学』(共著:著者代表・好文出版)、『「記紀」の可能性(古代文学と隣接諸学10)』(編・竹林舎)など。
執筆者
笹原 宏之(ささはら・ひろゆき)早稲田大学教授
上野 美穂子(うえの・みほこ)秀明大学教授
根来 麻子(ねごろ・あさこ)甲南女子大学専任講師
蜂矢 真弓(はちや・まゆみ)大阪大学助教
葛西 太一(かさい・たいち)日本学術振興会特別研究員PD
方 国花(ほう・こっか)奈良文化財研究所客員研究員
岩澤 克(いわさわ・かつみ)上智大学キリスト教文化研究所特別研究員
田中 草大(たなか・そうた)京都大学講師
黄 明月(こう・めいげつ)京都大学非常勤講師
宮川 優(みやかわ・ゆう)上智大学大学院博士後期課程
「上代のことばと文字」への招待—上代文学研究における国語学とは何か…瀬間正之
Ⅰ 上代文字資料をどのように扱えばよいか
上代文学と国語学—地名「高羅」をどう訓むか…瀬間正之
1 導入
2 『肥前国風土記』「高羅」をどう訓むか?
上代の字体入門…笹原宏之
1 上代の文字資料
2 漢字の分類と用語
3 中国製漢字
4 日本製異体字・日本製用法・日本製漢字
5 おわりに
原本系『玉篇』の意義と検索方法…瀬間正之
1 原本系『玉篇』と上代文学
2 原本系『玉篇』書誌・現行本
3 原本系『玉篇』検索方法
4 その後の佚文検索
「萬葉集用字考証実例」索引
六朝口語(唐代口語)をどのように調べるか…瀬間正之
1 六朝口語と上代文学
2 具体例1「所有」
3 具体例2「不問」
4 具体例3「〜得」
5 調べ方
* * * *
国語学の知識と方法をどのように生かすか—上代文学研究における課題を探る…上野美穂子
1 はじめに
2 文字選択の可能性と訓詁注釈
3 音声・音韻・文法からみた『万葉集』研究
4 さいごに
Ⅱ 研究状況とこれからの課題
『続日本紀』宣命の語彙をめぐる諸問題…根来麻子
中国の詔勅類と宣命との関係
語彙の位相と述作者の用語選択
日常的な文書類の語彙との共通点
今後の展望
被覆形・露出形の様相…蜂矢真弓
被覆形・露出形の先行研究
名詞の被覆形・露出形
名詞・動詞・形容詞の被覆形
形容詞の被覆形・露出形/被覆形の様相
付録 品詞別被覆形・露出形の例
表現から見る『日本書紀』の成立…葛西太一
『日本書紀』の性格
その表現は漢語漢文か
その表現は文言文か
規範の所在
今後に向けて
木簡がことばと文字の研究にもたらした新知見…方国花
日本における木簡研究のはじまり
木簡研究がもたらした新知見
木簡関連データベースの紹介
東アジア的視点での木簡研究
Ⅲ 知っておくべき基本研究文献
…岩澤克/田中草大/黄明月/方国花/宮川優/瀬間正之
『学会通信 漢字之窓』第2巻第1号(日本漢字学会 2020年6月)【評者 鈴木喬氏】