今昔物語集攷
生成・構造と史的圏域
川上知里 著

2021年3月30日発行
定価:9,900円(10%税込)
A5判・上製・424頁
ISBN:978-4-909832-36-8

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内容紹介著者紹介目次受賞

いつ、どこで、誰の手によって、どのように誕生したのか。

関連資料との綿密な比較作業の上に立ち、〈各話の読解〉と〈全体の把握〉、〈編者の意図〉と〈読者意識〉、〈内部の論理〉と〈外部との比較〉といった複合的な視点から、『今昔物語集』の世界を総合的に捉える。

「本書は各話と全体構造、編者の読者意識、作品の内部と外部といった、複合的な視点を組み合わせることによって、『今昔』という作品の解明と文学史的位置付けを試みるものである。未だ多くの謎に包まれた『今昔』の全貌は、多方向からの視線の統合によって、少なからず明らかにすることができると考えている。」……「序章」より

川上 知里(かわかみ・ちさと)
1986年生まれ。
2008年 東京学芸大学教育学部卒業。
2010年 東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了。
2015年 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。
  日本学術振興会特別研究員(PD)、尚絅大学文化言語学部助教を経て、
現在  日本学術振興会特別研究員(RPD)。

 凡例

序章
 一 『今昔物語集』概説
 二 問題の所在と本書の目的
 三 本書の構成

第一部 『今昔物語集』の世界

第一章 各話冒頭部の意義―構成と表現の連動性―
 はじめに
 一 事実性の強調と整合性の確保
 二 構成・配列との連動
 三 冒頭部と結語
 四 二方向への欲求
 おわりに
第二章 非仏法部の形成―巻十を基点として―
 はじめに
 一 巻十の話群構成
 二 中国正史の存在と天竺部・本朝部
 三 構成と表現の「本朝化」
 おわりに
第三章 恐怖表現の意義―巻九の生成理由をめぐって―
 はじめに
 一 恐怖表現の実相Ⅰ―正方向への影響力―
 二 恐怖表現の実相Ⅱ―内から作品を崩す力―
 三 巻九「震旦付孝養」構成への影響
 おわりに
第四章 歴史叙述からの解放―巻三十を手がかりに―
 はじめに
 一 仏教的観点の存在
 二 仏教と恋との葛藤
 三 巻三十の存在意義
 おわりに
第五章 仏法と王法―巻三十一と王法仏法相依論―
 はじめに
 一 三国における仏法と王法
 二 巻三十一の「仏法」
 三 巻三十一の「王法」
 おわりに
第六章 事実らしさへの執着―信憑性確保の手法と理由―
 はじめに
 一 仏法部における信憑性確保の手法
 二 信憑性確保の理由と背景
 三 非仏法部における信憑性確保の実態
 おわりに
第七章 結語にみる読者意識(1)―主題と合致する結語の実態―
 はじめに
 一 結語の性質と研究史
 二 一般読者―唱導的欲求―
 三 編者内の〈読者〉―〈執筆者〉との応答―
 四 編者内〈読者〉と〈執筆者〉の葛藤
 おわりに
第八章 結語にみる読者意識(2)―逸脱する結語の生成―
 はじめに
 一 「君子危うきに近寄らず」型
 二 仏法唱導型
 三 日常的教訓型
 おわりに

第二部 『今昔物語集』の史的圏域

第一章 『世継物語』論―説話化の営み―
 はじめに
 一 和歌から説話へ
 二 物語類から説話へ
 三 『世継物語』の生成 
 おわりに
第二章 『拾遺往生伝』論―歴史意識と文学意識―
 はじめに
 一 特徴と問題点
 二 歴史意識―配列と国史受容―
 三 表現へのこだわり―文飾の排除と平明化―
 四 説話内部への追求―為康の「説話化」―
 おわりに
第三章 唱導資料と説話集―院政期の説話引用をめぐって―
 はじめに
 一 手控えに見る説話引用―『言泉集』『諸事表白』『草案集』「弁暁説草」『三国伝灯記』―
 二 説法記録に見る説話引用―『法華百座聞書抄』『覚鑁聖人伝法会談義打聞集』―
 おわりに
第四章 『打聞集』論―説話集としての可能性―
 はじめに
 一 原拠との距離
 二 漢文体の出現と「云々」問題
 三 作成意図と「打聞」
 おわりに
第五章 金沢文庫本『仏教説話集』論―唱導資料の中の説話集―
 はじめに
 一 説話の引用形態の特徴
 二 説話本文の特徴
 三 唱導資料としての位置付け
第六章 『長谷寺験記』論―虚構の霊験記・歴史書―
 はじめに
 一 エピソードの挿入
 二 長谷寺霊験譚への変容
 三 霊験譚から長谷寺史へ  
 おわりに

終章
 一 『今昔物語集』の世界総論
 二 『今昔物語集』の生成試論

 初出一覧
 あとがき
 索引

2020年度東京大学而立(じりつ)賞

公式サイト:https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/research/systems-data/n03_kankojosei.html

「本学では、本学の教育研究活動により生み出された学術研究成果の普及を促進することを目的として、 優れた学術成果の刊行の助成を行っています。
また、本制度により著作物を刊行した優秀な若手研究者を顕彰し、そのキャリア・アップに資することを目的として、「東京大学而立(じりつ)賞」を授与します。」