寝殿造の仕組みと宮中の行事
〈図鑑 モノから読み解く王朝絵巻 第2巻〉
倉田実 著

2024年6月30日発行
定価:3,740円(10%税込)
A5判・並製・400頁
ISBN:978-4-909832-97-9

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内容紹介①内容紹介②著者紹介目次書評・紹介

絵巻に描かれている人物・衣裳・小物・家具・建築物など……すべての名前が分かる!

絵巻鑑賞に対する図説入門書として、第二巻では寝殿造理解の基本を示します。
貴族邸宅の様子を楽しんでください。

【本書の特長】
・画面の構図に込められた意味や意義を徹底解説。
・原典を忠実に再現した線描画と、3色刷りの分類番号で、抜群の見やすさ。
・平安時代の文学、文化、生活が理解できる。
・絵の説明となる「詞書」(ことばがき)の現代語訳も収録。
・事物の画像を検索、確認できる「絵引索引」つき。辞書的説明も付いて難語句も明解。

(全3冊)
1 源氏物語絵巻の世界
3 平安時代の信仰と暮らし


髙樹のぶ子氏推薦!——平安絵巻への最高の案内本です。

 平安時代に世間の目が向くのは素晴らしいことですが、そこに見える世界は、実際に千年昔に存在していたのかどうか。
 それを確かめるには、絵巻物の情報に頼るしかありません。残された文字情報も勿論大事ですが、目から入るものは、それだけで身近に感じられるものなのです。
 この時代から現代まで残されている言葉は、沢山あります。けれど、当時と今では全くの別物であることは多々あります。たとえば「簀の子」という言葉は今も使われていますが、平安時代の簀の子は、濡れ縁のような寝殿造りの外周を指しました。絵巻物を見ることで、それが簀の子であることを初めて知るのです。
 私は平安時代の人々の生活を知るには、まず絵巻物を見る愉しみから始めるのが良いと思っていますが、それだけでは足りません。そこに描かれた建物や装束、日々の暮らしの物々に触れ、その名称を正しく知ることで、ようやくこの時代に近づき、味わうことが出来るのです。
 この「図鑑 モノから読み解く王朝絵巻」こそ、平安絵巻への最高の案内本です。
 この図鑑を片手に絵巻物を見れば、人物は動きだし、牛車はギシギシと音を立て、一枚の絵に隠された物語や人間関係をも想像させます。気がつけば平安歴史への関心も知識も、大きく膨らんでいるに違いありません。

図版は第1巻のものです。


原典を忠実に再現した線描画で場面を味わってください。
原典では破損などによりモノの輪郭が不鮮明な場合も、線描ではっきりと示すことができています。
ただし、剥落や退色などで線描できない部分は、むやみな再現をしていません。
あくまでも絵巻の現状を大切にしています。


絵巻に描かれているモノすべてに記号を付けて、名称を示します。


絵巻の場面や人物、事物について解説。画面の趣向や構図も確認します。

倉田 実(くらた みのる)

昭和学院短期大学専任講師、大妻女子大学文学部教授を経て、現在、大妻女子大学名誉教授。
紫式部学術賞・日本庭園学会賞受賞。

著書◉
『紫の上造型論』(新典社、1988年6月)、『「わが身をたどる表現」論 源氏物語の膠着語世界』 (武蔵野書院、1995年11月)、『狭衣の恋』(翰林書房、1999年11月)、『王朝摂関期の養女たち』(翰林書房、2004年11月)、『蜻蛉日記の養女迎え』(新典社、2006年9月)、『王朝の恋と別れ 言葉と物の情愛表現』(森話社、2014年11月)、『庭園思想と平安文学 寝殿造から』(花鳥社、2018年11月)、『図鑑 モノから読み解く王朝絵巻 第一巻 源氏物語絵巻の世界』(花鳥社、2024年4月)など。
共著◉
『伊勢集全注釈』(角川書店、2016年11月)、『拾遺和歌集』(岩波文庫、2021年12月)など。
編著◉
『王朝文学と建築・庭園』(平安文学と隣接諸学1、竹林舎、2007年5月)、『現代文化と源氏物語』(講座源氏物語研究 第九巻、おうふう、2007年10月)、『王朝人の婚姻と信仰』(森話社、2010年5月) 、『平安大事典 図解でわかる『源氏物語』の世界』(朝日新聞出版、2015年4月)など。
共編著◉
『源氏物語の鑑賞と基礎知識 空蝉』(至文堂、2001年6月)、『王朝文学と交通』(平安文学と隣接諸学7、竹林舎、2009年5月)、『王朝文学文化歴史大事典』(笠間書院、2011年11月)、『王朝びとの生活誌 『源氏物語』の時代と心性』(叢書・文化学の越境19、森話社、2013年3月)、『三省堂全訳読解古語辞典 第五版』(三省堂、2017年10月)、『狭衣物語の新世界』(知の遺産シリーズ6、武蔵野書院、2019年2月)など。

はじめに

Ⅰ 寝殿造の構造を読み解く

寝殿造平面図

平安貴族の私邸

1『年中行事絵巻』巻三
  「闘鶏」の貴族邸
2『年中行事絵巻』巻一
  「朝覲行幸」の法住寺南殿
3『年中行事絵巻』巻十
  「大臣大饗での拝礼」の東三条邸
4『年中行事絵巻』別本巻二
  「大臣大饗の鷹飼と犬飼の登場」の東三条邸
5『年中行事絵巻』巻六
  「臨時客」の東三条邸
6『年中行事絵巻』巻十
  「六月祓」の貴族邸
7『年中行事絵巻』巻三
  「蹴鞠」の貴族邸
8『紫式部日記絵巻』藤田美術館本五段
  「道長と龍頭鷁首の舟」の土御門邸
9『年中行事絵巻』京大本巻十三
  「伸子張と闘鶏」の貴族邸
10『年中行事絵巻』別本巻三
  「安楽花」の貧乏貴族邸
11『奈与竹物語絵巻』五段
  「帝の文使」の少将邸

Ⅱ 大内裏・内裏の行事を読み解く

平安京・内裏図

大内裏の行事

12『年中行事絵巻』巻七
  「御斎会竟日の舞楽」の大極殿と蒼龍楼
13『年中行事絵巻』巻四
   「射遺の参内」の待賢門
14『年中行事絵巻』巻四
  「射遺」の建礼門門前
15『年中行事絵巻』巻八
  「騎射」の右近衛府の馬場

紫宸殿の行事

16『年中行事絵巻』巻一
  「朝覲行幸の出発」の紫宸殿・承明門・建礼門
17『年中行事絵巻』巻四
  「賭弓」の紫宸殿南庭と射場殿から安福殿
18『年中行事絵巻』巻十
  「女踏歌」の紫宸殿南庭

紫宸殿周辺の殿舎の行事

19『年中行事絵巻』巻六
  「御斎会での右近衛陣座の饗応」の校書殿と月華門
20『年中行事絵巻』巻五
  「内宴の妓女の舞」の仁寿殿から綾綺殿
21『年中行事絵巻』巻五
  「内宴の献詩披講」の仁寿殿
22『年中行事絵巻』巻六
  「中宮大饗」の玄輝門西廊の北面

清涼殿と五節の行事

23『年中行事絵巻』巻六
  「御斎会内論義」の清涼殿
24『信貴山縁起』延喜加持の巻
  「勅使蔵人の奏上」の清涼殿
25『承安五節絵』二段
  「五節舞姫と童女の参内」の玄輝門
26『承安五節絵』五段
  「五節の淵酔」の清涼殿殿上の間
27『承安五節絵』六段
  「殿上人の肩脱」の弘徽殿と登花殿の西面
28『承安五節絵』八段
  「童女御覧」の清涼殿

Ⅲ 絵巻の詞書本文

Ⅳ 絵巻解説

あとがき

絵引索引
事項索引

■「日本経済新聞」読書面「あとがきのあと」(インタビュー記事)に掲載されました(2024年8月17日)。

「「モノは物を言う」平安絵巻の深遠 名前から場面解説」