倭建命物語論 
古事記の抒情表現 
小野諒巳 著

2019年2月28日発行
定価:6,600円(10%税込)
A5判・上製・280頁
ISBN:978-4-909832-02-3

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内容紹介著者紹介目次書評・紹介
歌は物語の中でどのような役割を果たしているのか

ヤマトタケルの物語にみえる、個々の歌とその歌い手を中心とする登場人物の関係性とを考察。『古事記』に独自の表現や記事配列を踏まえて物語全体の中に位置づける。
歴史的事跡である国土平定が、なぜ一人物の抒情的物語として描かれたのか—享受者の記憶に定着させ、「語り継がれるための工夫」を見出す。

小野 諒巳(おの あさみ)

國學院大學大学院文学研究科博士課程後期単位修得退学
2018年 博士(文学)取得 (國學院大學)
現在 國學院大學兼任講師
専攻 日本上代文学
著書・論文『古事記歌謡注釈 歌謡の理論から読み解く古代歌謡の全貌』(共著、新典社、2014年)

はじめに
本書の概要
凡例

序論 『古事記』の倭建命物語

Ⅰ 倭建命西征と神話
Ⅱ 倭建命東征の表現
Ⅲ 倭建命の名について

第一章 倭建命の「建荒之情」―被派遣者の資質―

はじめに
一 「建荒之情」の先行研究
二 「建」の解釈
三 「荒」の解釈
四 倭建命の「建荒之情」
おわりに

第二章 出雲の掌握と刀剣讃美―「さみなし」歌の解釈から―

はじめに
一 出雲建討伐条の先行研究
二 「さみなし」の解釈
三 「出雲建が佩ける大刀」と「あはれ」
四 『古事記』における大和王権と出雲
おわりに

第三章 弟橘比売命入水条の表現―象徴化の方法―

はじめに
一 倭建命物語における入水条の記載意義
二 「さねさし」歌の記載意義
三 「さねさし」歌と「覆奏」
おわりに

第四章 酒折宮問答歌の時間意識―月立問答歌への展開―

はじめに
一 酒折宮問答歌の先行研究
二 倭建命の時間意識―記25の表現―
三 記26の表現効果―東征のとじめを告げる歌―
四 酒折宮問答歌の位置づけ
おわりに

第五章 月立問答歌の敬語表現―男女唱和の視点から―

はじめに
一 倭建命と美夜受比売の物語
二 「月立たなむよ」の解釈
三 男女の唱和歌における敬語表現
四 倭建命物語における「期」の文脈
おわりに

第六章 白猪神への「言挙」―「言向」から逸脱する倭建命―

はじめに
一 言向と言挙
二 伊服岐能山の「白猪」と五十葺山の「大蛇」
三 皇命の言向と倭建命の言挙
おわりに

第七章 「一つ松」歌の役割―疲弊と思慕とを語る歌―

はじめに
一 「一つ松」歌の解釈
二 倭建命と松樹との対比
三 尾張に向かう一つ松と「御刀」の表現
おわりに

第八章 思国歌にみる倭建命の忠心

はじめに
一 思国歌の先行研究
二 記31の解釈
三 倭建命物語における記31の位置づけ
おわりに

第九章 倭建命辞世歌の役割―東征の終焉を告げる歌―

はじめに
一 記33の周辺に関する先行研究
二 「嬢子の床辺」歌の解釈
三 「嬢子の床辺」歌の役割
おわりに

第十章 倭建命葬送条における「倭」と「天」

はじめに
一 倭建命葬送条の先行研究
二 妻子による葬送の意義
三 八尋白智鳥の行方―「天」の解釈―
おわりに

結論

初出一覧
あとがき
英文要旨 A narrative analysis of Yamatotakeru’s legend as described in the Kojiki  translated by Quiros Ignacio
索引(事項・引用文献・歌番号)

「日本文学」2019年12月号【評者 津田博幸氏】

「國學院雑誌」第120巻第10号(2019年10月15日発行)【評者 烏谷知子氏】