新訳 更級日記
島内景二 著

2020年3月31日初版第1刷発行
2021年6月30日初版第2刷発行
定価:1,980円(10%税込)
四六判・並製・424頁
ISBN:978-4-909832-17-7

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内容紹介著者紹介目次書評・紹介

NHKラジオ第2 古典講読「王朝日記の世界」(2020年度放送)で話題

『更級日記』の魅力を存分に引き出した新訳の誕生!

古典の奥の奧までわかる。
踏み込んだ意訳が一行の背後に潜む、凝縮された更級世界にわれわれを導く。

「『更級日記』という作品が持っている可能性は、中世文化の開幕を告げた藤原定家の予感を大きく超えて、二十一世紀の現代にこそ発芽し、開花・結実できると信じている。」…「はじめに」より

島内 景二(しまうち・けいじ)

1955年長崎県生
東京大学文学部卒業、東京大学大学院修了。博士(文学)
現在 電気通信大学教授
2020年4月から一年間、NHKラジオ第2 古典講読「王朝日記の世界」を担当。

主要著書
『新訳 和泉式部日記』(花鳥社)
『和歌の黄昏 短歌の夜明け』(花鳥社)
『塚本邦雄』『竹山広』(コレクション日本歌人選、笠間書院)
『源氏物語の影響史』『柳沢吉保と江戸の夢』『心訳・鳥の空音』(いずれも、笠間書院)
『北村季吟』『三島由紀夫』(共に、ミネルヴァ書房)
『源氏物語に学ぶ十三の知恵』(NHK出版)
『大和魂の精神史』『光源氏の人間関係』(共に、ウェッジ)
『文豪の古典力』『中島敦「山月記伝説」の真実』(共に、文春新書)
『源氏物語ものがたり』(新潮新書)
『御伽草子の精神史』『源氏物語の話型学』『日本文学の眺望』(いずれも、ぺりかん社)
歌集『夢の遺伝子』(短歌研究社)
『楽しみながら学ぶ作歌文法・上下』(短歌研究社)
『短歌の話型学 新たなる読みを求めて』『小説の話型学 高橋たか子と塚本邦雄』(共に、書肆季節社)

はじめに

Ⅰ 東海道紀行……憧れは西へ(十三歳)

物語の待つ都へ
取り残された薬師仏
雨の日の旅立ち
水底の門
くろとの浜
月光哀歌
東国に下り住んだ皇女様
隅田川を渡る
地名のおかしみ
夢幻のクレバス
駿河の国に入る
神々が集う富士の山
浜名の橋
三河の国の旅
恐るべき満ち潮と、足柄幻影
晴れやらぬ雪の逗留
来迎の神秘

Ⅱ 広壮な屋敷で紡がれる夢……物語愛づる少女(十三歳から十七歳)

物語への飢渇感と、焼け石に水
継母との別れ
相次いだ春の訃報
『源氏物語』を読む夢を叶える
十四歳の夏秋 天照御神
猫に生まれ変わった姫君
『長恨歌』と七夕
死を思う姉と、荻の葉情歌
自宅の火災と、そして猫の死
狭い家に移る
飛び去りし姉
死の波紋を描く物語
悲しみの連珠
吉野を思う

Ⅲ 東山での日々……淡い恋の記憶(十八歳から二十四歳)

父親の不遇を、恋人と悲しむ
東山に移る
山の井の雫
物語の女たちを憶う
時鳥を独り占め
東山の秋
心の友は、どこに
東山から戻る
東山再訪
露の哀れ
継母への抗議
物語への永遠なる憧れ

Ⅳ 父、遠くへ去りぬ……寄せては返す夢のさざ波(二十五歳から二十八歳)

「常陸の介」になった父
秋の別れ
太秦で父の無事を祈る
散乱たり、荻の葉。そして、夢もまた
子忍びの森
清水寺で見た夢
長谷寺の鏡の夢
天照御神
修学院の尼

Ⅴ 祐子内親王家への宮仕え……文化サロンの萌芽(二十九歳から三十二歳)

父、帰る
西山の山荘
宮仕えの誘い
初めての出仕
師走の里下がり
前世の夢
御仏名

Ⅵ 結婚と貴公子……世俗的な夫と、物語的な男(三十三歳から三十七歳)

結婚
物語への疑い
内侍所で天照御神を拝む
冬の女房生活日誌・その一
冬の女房生活日誌・その二
冬の女房生活日誌・その三
宮廷の風雅、殿上人との季節の語らい
時雨の夜のなごり

Ⅶ 物詣の旅……宗教的な旅の思い出(三十八歳から四十九歳)

家刀自の自由を、石山詣
都の華やぎを後に、初瀬詣
宇治川の網代
鞍馬の春秋
石山寺、再訪
初瀬、再訪
家庭生活の満足と、期待
越前に下った女友達
西山で孤独を思う
太秦に籠もる
同僚の女房たちとの友情
和泉の国への舟旅

Ⅷ 姨捨山の月……物語を求め続けて、今(五十歳から五十二歳)

夫、信濃の国司となる
夫と息子の旅立ち、不吉な人魂
夫の死
夢は、みんな壊れた
阿弥陀仏の夢
更級の姨捨山
孤独を生きる
移り行く刻と、人生の悲哀
藤原定家の奥書・その一
藤原定家の奥書・その二

解説

『サライ』2020年8月号(小学館)「大特集 読書三昧の夏」【評者 安部龍太郎氏】

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