文の成立と主語・述語 
竹林一志 著

2020年2月28日発行
文の成立と主語・述語

竹林一志 著
定価:本体2,800円+税
A5判・並製・180頁
ISBN:978-4-909832-18-4
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そもそも、文とは何か。主語・述語とは何か。文成立のために主語・述語は不可欠なのか。——文法論における根源的問題に迫る。

研究史を繙きつつ、〈文は主語・述語に「承認」「疑問」「希求」のいずれかが加わることによって成立する〉という独自の見解を打ち立てる! 先行研究にしっかりと寄り添い正確に紹介する、文法論入門にも格好の書。

「本書の特徴として、学説の検討に力を入れているということも挙げられる。先行研究をどう受けとめ、どう展開させるか、先行諸説と自説とは如何なる関係にあるのか、自分の主張は文論・主語論・述語論の学史において如何なる意味を持つのか、といったことを強く意識しながら本書を執筆した。文の成立や主語・述語をめぐる山田孝雄・尾上圭介の所説、主語・題目語(主題)をめぐる三上章の論、仁田義雄のモダリティ論については、特に詳しく検討した。」…「総論 本書の特徴と、おもな主張」より


著者
竹林 一志(たけばやし・かずし)
1972年、茨城県生まれ(1歳半より東京都港区で育つ)
2001年、学習院大学大学院(人文科学研究科日本語日本文学専攻)博士後期課程単位取得満期退学
2003年、学習院大学より博士(日本語日本文学)の学位取得
2005年、日本大学商学部に専任講師として着任
現在、日本大学商学部教授(おもに、留学生対象の「日本語」科目を担当)

著書
『現代日本語における主部の本質と諸相』くろしお出版、2004年(追補版:2007年)
『「を」「に」の謎を解く』笠間書院、2007年
『日本語における文の原理──日本語文法学要説』くろしお出版、2008年
『日本古典文学の表現をどう解析するか』笠間書院、2009年
『これだけは知っておきたい言葉づかい──時とともに言葉が変わる理由』笠間書院、2011年
『聖書で読み解く『氷点』『続 氷点』』いのちのことば社フォレストブックス、2014年


目次

はしがき

総論 本書の特徴と、おもな主張

第1章 主語なし述定文の存否
1. はじめに
2. 述定文に見えて真正の述定文でないもの
 2.1. 実質的には語相当のもの
 2.2. 非述定文的なもの
 2.3. 述定文と非述定文の中間態
3. 主語が比較的分かりやすい述定文
4. 主述未分化の述定文
5. おわりに

第2章 山田文法の「統覚作用」概念と文の成立
1. はじめに
2. 統覚作用についての尾上説
3. 統覚作用の本質
4. 喚体句と述体句の交渉
5. 統合作用としての統覚作用と、「実現性のあり方」表現
6. おわりに

第3章 承認、疑問、希求──文を文たらしめるもの
1. はじめに──時枝誠記による山田文法批判
2. 渡辺(1971)の所説
3. 文の語り方の三種
4.「承認」をめぐって
 4.1. 連体句に関して
 4.2. 連用修飾・連体修飾に関して
 4.3. 従属句に関して
5.「疑問」「希求」をめぐって
6.〈不十分な陳述〉とは──山田孝雄の「陳述」イメージ
7. 文成立の決め手が「承認」「疑問」「希求」である原理
8.「文息」概念の提唱
9. おわりに

第4章 文的意味としての「承認」の二種
1. はじめに
2. 名詞一語文における「承認」
3. 原理的名詞一語文と不存在承認
4. 動詞文における「承認」
5. おわりに

第5章 文・主語・述語をめぐる尾上説
1. はじめに──尾上圭介の文法学説
2. 存在承認と存在希求
3. 述定文・非述定文と主語・述語
 3.1. 文的意味を表現する二つの方法
 3.2. 疑問文について
 3.3. 日本語の主語の規定について
 3.4. 感嘆文について
4. 述語をめぐって
5.「文息」の所在
 5.1. 「~む」「~(よ)う」
 5.2. 「~だろう」
 5.3. 「~た」、不定詞、「~か」
 5.4. 命令形
6. おわりに

第6章 主語・題目語をめぐる三上説
1. はじめに
2. 主語・題目語をめぐる三上説の変遷
 2.1. 三上(1942a)の論
 2.2. 三上(1953)の論
 2.3. 三上(1959)の論
 2.4. 三上(1960)の論
 2.5. 三上(1963a-c)の論
 2.6. 三上(1969b)の論
 2.7. 三上(1969c)の論
 2.8. 三上(1970)の論
 2.9. 主語・題目語をめぐる三上説の変遷(まとめ)
3.「Xは」と「Xが」の異次元性と交渉
4.「主語」の概念規定
5. 主語論の方法
6. おわりに

第7章 仁田モダリティ論の変遷
1. はじめに
2. 仁田(1991)から仁田(2009b)までの変遷
 2.1. 仁田(1991)の文観と「モダリティ」
 2.2. 仁田(1991)以降、仁田(2009b)までの変更
3. 仁田(2009b)までの変更の意味
4. 仁田(2009b)以降の変更
 4.1. 客体的モダリティ
 4.2. 発話・伝達のモダリティに関して
 4.3. 仁田(2014c)、仁田(2014d)、仁田(2016)について
5. 仁田モダリティ論についての提言
6. おわりに

第8章 文成立論の学史
1. はじめに
2. 主語・述語は文の必須成分か
 2.1. 大槻文彦の論
 2.2. 山田孝雄の論
 2.3. 尾上圭介、森重敏、川端善明の論
 2.4. 三上章の論
3. 文成立の決め手は何か
 3.1. 山田孝雄の論
 3.2. 時枝誠記の論
 3.3. 渡辺(1953)の論
 3.4. 芳賀(1954)と渡辺(1971)の論
 3.5. 仁田義雄の論
4. おわりに

第9章 本書の学史的位置
1. はじめに
2. 主語・述語は文の必須成分か
3. 文成立の決め手は何か
 3.1. 尾上説と筆者の論
 3.2. 渡辺説と筆者の論
 3.3. 仁田説と筆者の論
4. 川端説と筆者の論
5. おわりに

結語

引用文献
あとがき
索引