新訳 蜻蛉日記 上巻 
島内景二 著

2021年5月31日発行
定価:1,980円(10%税込)
四六判・並製・400頁
ISBN:978-4-909832-38-2

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内容紹介著者紹介目次

NHKラジオ講座「王朝日記の世界」を2020年度から担当する著者による、新訳シリーズ第3弾!(2021年度前期は『蜻蛉日記』を読んでいます)

『蜻蛉日記』があったからこそ、『源氏物語』の達成が可能であった。
夫婦生活の問題、和歌の交流……「右大将道綱の母」が記録した人間模様。
『源氏物語』ほか、多くの作品に影響を与えた王朝女流日記を新訳で読む。

*本書では上巻すべての原文を掲げ、全訳を試み、「評」を加えています。
 中巻以降は、全訳ではなく、名場面をセレクトした『王朝日記の魅力』にてお読みいただけます。

【好評既刊】
新訳更級日記(定価1,980円、2020年3月刊)
新訳和泉式部日記(定価1,870円、2020年10月刊)

島内 景二(しまうち・けいじ)
1955年長崎県生
東京大学文学部卒業、東京大学大学院修了。博士(文学)
現在 電気通信大学名誉教授
2020年4月から、NHKラジオ第2 古典講読「王朝日記の世界」を担当。

主要著書
『新訳 和泉式部日記』(花鳥社)
『新訳 更級日記』(花鳥社)
『和歌の黄昏 短歌の夜明け』(花鳥社)
『塚本邦雄』『竹山広』(コレクション日本歌人選、笠間書院)
『源氏物語の影響史』『柳沢吉保と江戸の夢』『心訳・鳥の空音』(いずれも、笠間書院)
『北村季吟』『三島由紀夫』(共に、ミネルヴァ書房)
『源氏物語に学ぶ十三の知恵』(NHK出版)
『大和魂の精神史』『光源氏の人間関係』(共に、ウェッジ)
『文豪の古典力』『中島敦「山月記伝説」の真実』(共に、文春新書)
『源氏物語ものがたり』(新潮新書)
『御伽草子の精神史』『源氏物語の話型学』『日本文学の眺望』(いずれも、ぺりかん社)
歌集『夢の遺伝子』(短歌研究社)
『楽しみながら学ぶ作歌文法・上下』(短歌研究社)
『短歌の話型学 新たなる読みを求めて』『小説の話型学 高橋たか子と塚本邦雄』(共に、書肆季節社)

はじめに 『蜻蛉日記』への誘い

Ⅰ 序文
1 物儚き人なればこそ書く日記

Ⅱ 天暦八年(九五四) 十九歳
2 最初からすれ違いだった
3 恋の何たるかを知らない男
4 妻となった日
5 撫子の露、新妻の涙
6 兼家、秀歌を詠む
7 夜の衣を返しても
8 父、遠くへ去りぬ
9 仏教の聖地に降る雪

Ⅲ 天暦九年(九五五) 二十歳
10 子を産み、「道綱の母」となる
11 夫の愛人への恋文を発見
12 『小倉百人一首』の名歌誕生

Ⅳ 天暦十年(九五六) 二十一歳
13 桃の節句と、二組の夫婦
14 姉も去りて、孤独の日々
15 兼家の本妻・時姫と共闘できず
16 男に飽きられる秋の訪れ 
17 煙比べ
18 小弓の矢
19 家の前を、素通りされる
20 切れた蜘蛛の糸のように訪れが絶えて

Ⅴ 天暦十一年=天徳元年(九五七) 二十二歳
21 漢籍を返す
22 町の小路の女、男児を産む
23 裁縫の依頼
24 尾花に寄せて
25 露、そして月
26 野分の後に
27 時雨は降り、男は出てゆく
28 町の小路の女の凋落
29 これまでの人生を長歌で回顧する
30 あの人からの返事の長歌
31 馬の家族

Ⅵ 応和二年(九六二) 二十七歳
32 七夕の前後
33 夫の閑職は、家庭の幸福
34 兵部卿宮は風流皇子
35 長雨と恋路
36 常夏の文、三角関係発生か
37 山寺の盂蘭盆

Ⅶ 応和三年(九六三) 二十八歳
38 遅れてきた春
39 章明親王邸の薄

Ⅷ 応和四年=康保元年(九六四) 二十九歳
40 蜩の声に悲しみが募る
41 物儚い女の一生
42 母の死と、私の臨死体験
43 耳楽の島
44 一叢薄
45 袈裟の思い出

Ⅸ 康保二年(九六五) 三十歳
46 母死して、はや一年
47 断絃の故事
48 姉、都を去りぬ
49 逢坂山の姉を思う

Ⅹ 康保三年(九六六) 三十一歳
50 兼家、倒れる
51 兼家の自宅に向かう
52 葵祭で時姫と「歌合戦」を繰り広げる
53 三年ぶりの端午の節句
54 結婚十二年を閲しての感慨
55 父親から愛されない我が子
56 伏見稲荷に詣でる
57 賀茂の神様に祈る

Ⅺ 康保四年(九六七) 三十二歳
58 鳥の卵を十個、重ねる
59 村上天皇から冷泉天皇へ
60 藤原佐理夫婦の出家 
61 家を移る

Ⅻ 康保五年=安和元年(九六八) 三十三歳
62 人形のやりとり
63 手紙の誤配達
64 兼家は、赤ちゃん
65 登子様との交流
66 初瀬詣でに出発
67 椿市にて
68 辿り着いた長谷寺
69 帰途に就く
70 迎えに来た兼家と合流
71 藤原師氏との交流
72 大嘗祭

XⅢ 跋文
73 『蜻蛉日記』と名づける

あとがき