懐風藻全注釈
新訂増補版
辰巳正明 著
2021年9月30日発行
定価 14,300円(10%税込)
A5判・上製・口絵4頁+608頁
ISBN:978-4-909832-43-6
日本最初の漢詩集
中国周辺諸国のなかで現存最古の漢詩集の一つ、懐風藻。
漢字文化圏の重要な国際文学研究資料として存在感を増している。
多くの中国文献による出典を明らかにし、懐風藻読解の基盤となった名著(笠間書院刊、2012年)を全面的に見直した決定版!
注釈がより詳細に。50頁の大増補!
「個々の詩を味読すれば、平安朝漢詩に劣らない、当時の詩人・文人たちの息吹が感じられる。新たな文学表現へと向かう詩人たちの、国際性を目指した自負があったのであろう。ここでは前著の誤りを正し、説明の不足を補い、また漢籍・仏典の事例を多く取り上げて理解を深める助けとした。」——「新訂増補版 跋」より
辰巳 正明(たつみ・まさあき)
1945年1月30日 北海道生まれ
1973年3月31日 成城大学大学院博士課程満期退学
現職 國學院大學名誉教授・同客員教授
学位 博士(文学・成城大学)
2018年度日本学賞(一般社団法人日本学基金)受賞
著書
『万葉集と中国文学』『万葉集と中国文学 第二』『詩の起原 東アジア文化圏の恋愛詩』『万葉集に会いたい。』『短歌学入門 万葉集から始まる〈短歌革新〉の歴史』『詩霊論 人はなぜ詩に感動するのか』『折口信夫 東アジア文化と日本学の成立』『山上憶良』『万葉集の歴史 日本人が歌によって築いた原初のヒストリー』『懐風藻全注釈』『王梵志詩集注釈』(以上、笠間書院)
『長屋王とその時代』『歌垣 恋歌の奇祭をたずねて』『懐風藻 古代日本の漢詩を読む』『大伴旅人 「令和」を開いた万葉集の歌人』『「令和」から読む万葉集』(以上、新典社)
『万葉集と比較詩学』(おうふう)
『悲劇の宰相長屋王 古代の文学サロンと政治』(講談社)
『万叶集与中国文学』(武漢出版社)
編著
『万葉集歌人集成』(講談社)
『悲劇の宰相 長屋王邸を掘る』(山川出版社)
『懐風藻 漢字文化圏の中の古代漢詩』『懐風藻 日本的自然観はどのように成立したか』(以上、笠間書院)
『郷歌 注解と研究』『古事記歌謡注釈 歌謡の理論から読み解く古代歌謡の全貌』(以上、新典社)
懐風藻解題
成立と背景
詩形と詩題
対句表現
時代区分
出典語彙の傾向
懐風藻の伝来
懐風藻の基本図書
懐風藻全注釈
凡例
懐風藻序
懐風藻目録
一 大友皇子二首 伝記
1 五言侍宴一絶
2 五言述懐一絶
二 河嶋皇子一首 伝記
3 五言山斎一絶
三 大津皇子四首 伝記
4 五言春苑宴一首
5 五言遊猟一首
6-1 七言述志
6-2 後人聯句
7 五言臨終一絶
四 釈智蔵二首 伝記
8 五言翫花鶯一首
9 五言秋日言志一首
五 葛野王二首 伝記
10 五言春日翫鶯梅一首
11 五言遊龍門山一首
六 中臣朝臣大嶋二首
12 五言詠孤松一首
13 五言山斎一首
七 紀朝臣麻呂一首
14 五言春日応詔一首
八 文武天皇三首
15 五言詠月一首
16 五言述懐一首
17 五言詠雪一首
九 大神朝臣高市麻呂一首
18 五言従駕応詔一首
一〇 巨勢朝臣多益須二首
19 五言春日応詔二首
20 (五言春日応詔)
一一 犬上王一首
21 五言遊覧山水一首
一二 紀朝臣古麻呂二首
22 七言望雪一首
23 五言秋宴得声清驚情四字一首
一三 美努連浄麻呂一首
24 五言春日応詔一首
一四 紀末茂一首
25 五言臨水観魚一首
一五 釈弁正二首 伝記
26 五言与朝主人
27 五言在唐憶本郷一絶
一六 調忌寸老人一首
28 五言三月三日応詔一首
一七 藤原朝臣史五首
29 五言元日応詔一首
30 五言春日侍宴応詔一首
31 五言遊吉野二首
32 (五言遊吉野)
33 五言七夕一首
一八 荊助仁一首
34 五言詠美人一首
一九 刀利康嗣一首
35 五言侍宴一首
二〇 伊預部馬養一首
36 五言従駕応詔一首
二一 大石王一首
37 五言侍宴応詔一首
二二 田辺史百枝一首
38 五言春苑応詔一首
二三 大神朝臣安麻呂一首
39 五言山斎言志一首
二四 石川朝臣石足一首
40 五言春苑応詔一首
二五 山前王一首
41 五言侍宴一首
二六 采女朝臣比良夫一首
42 五言春日侍宴応詔一首
二七 安倍朝臣首名一首
43 五言春日応詔一首
二八 大伴宿祢旅人一首
44 五言初春侍宴一首
二九 中臣朝臣人足二首
45 五言遊吉野宮二首
46 (五言遊吉野宮)
三〇 大伴王二首
47 五言従駕吉野宮応詔二首
48 (五言従駕吉野宮応詔)
三一 道公首名一首
49 五言秋宴一首
三二 境部王二首
50 五言宴長王宅一首
51 五言秋夜山池一首
三三 山田史三方三首
52 五言秋日於長王宅宴新羅客一首 并序
53 五言七夕一首
54 五言三月三日曲水宴一首
三四 息長真人臣足一首
55 五言春日侍宴
三五 吉智首一首
56 五言七夕一首
三六 黄文連備一首
57 五言春日侍宴一首
三七 越智直広江一絶
58 五言述懐
三八 春日蔵老一絶
59 五言述懐
三九 背奈王行文二首
60 五言秋日於長王宅宴新羅客一首 賦得風字
61 五言上巳禊飲応詔
四〇 調忌寸古麻呂一首
62 五言初秋於長王宅宴新羅客
四一 刀利宣令二首
63 五言秋日於長王宅新羅客宴一首 賦得稀字
64 五言賀五八年
四二 下毛野朝臣虫麻呂一首
65 五言秋日於長王宅宴新羅客一首 并序 賦得前字
四三 田中朝臣浄足一首
66 五言晩秋於長王宅宴一首
四四 長屋王三首
67 五言元日宴応詔
68 五言於宝宅宴新羅客一首 賦得烟字
69 五言初春於作宝楼置酒
四五 安倍朝臣広庭二首
70 五言春日侍宴
71 五言秋日於長王宅宴新羅客 賦得流字
四六 紀朝臣男人三首
72 七言遊吉野川
73 五言扈従吉野宮
74 五言七夕
四七 百済公和麻呂三首
75 五言初春於左僕射長王宅讌
76 五言七夕
77 五言秋日於長王宅宴新羅客 賦得時字
四八 守部連大隅一首
78 五言侍宴
四九 吉田連宜二首
79 五言秋日於長王宅宴新羅客 賦得秋字
80 五言従駕吉野
五〇 箭集宿禰虫麻呂二首
81 五言侍讌
82 五言春於左僕射長王宅宴
五一 大津連首二首
83 五言和藤原太政遊吉野川之作 仍用前韵
84 五言春日於左僕射長王宅宴
五二 藤原朝臣総前三首
85 五言七夕
86 五言秋日於長王宅宴新羅客 賦得難字
87 五言侍宴一首
五三 藤原朝臣宇合六首
88 五言暮春曲宴南池 并序
89 七言在常陸贈倭判官留在京一首 并序
90 七言秋日於左僕射長王宅宴
91 五言悲不遇
92 五言遊吉野川
93 五言奉西海道節度使之作
五四 藤原朝臣万里五首
94 五言暮春於第園池置酒 并序
95 五言過神納言墟
96 (五言過神納言墟)
97 五言仲秋釈奠
98 五言遊吉野川
五五 丹墀真人広成三首
99 五言遊吉野山
100 七言吉野之作
101 五言述懐
五六 高向朝臣諸足一首
102 五言従駕吉野宮
五七 釈道慈二首 伝記
103 五言在唐奉本国皇太子
104 五言初春在竹渓山寺於長王宅宴追致辞 并序
五八 麻田連陽春一首
105 五言和藤江守詠稗叡山先考之旧禅処柳樹之作
五九 塩屋連古麻呂一首
106 五言春日於左僕射長王宅宴
六〇 伊与連古麻呂一首
107 五言賀五八年宴
六一 民黒人二首
108 五言幽棲
109 五言独坐山中
六二 釈道融五首 (欠三首) 伝記
110 (無題)
111 山中
六三 石上朝臣乙麻呂四首 伝記
112 五言飄寓南荒贈在京故友一首
113 五言贈掾公之遷任入京一首
114 五言贈旧識一首
115 五言秋夜閨情一首
六四 葛井連広成二首
116 五言奉和藤太政佳野之作一首 仍用前韵四字
117 五言月夜坐河浜一絶
六五 亡名氏
118 五言歎老
解説—懐風藻と東アジアの古代漢詩
一 百済文化の渡来と日本の漢文化
二 懐風藻の評価
三 日本漢詩はなぜ詠まれたのか
四 東アジア漢字文化圏の漢詩
跋
新訂増補版 跋
懐風藻漢詩索引