中世和歌の始まり
京と鎌倉をつなぐ文化交流の軌跡
木村尚志 著

10月下旬刊行予定

定価:11,000円(10%税込)

A5判・上製カバー装・456頁

ISBN:978-4-909832-47-4

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内容紹介著者紹介目次
和歌史の「中世」をひもとく。

基俊と俊頼ほか歌風の対立、御子左家・六条家など歌道家の争い、朝廷・鎌倉幕府が並び立つなかの宗尊親王による和歌活動……密接に絡み合う和歌・政治両面の〈対立の統一〉にいたる道筋を、歌人の動向や和歌表現の解析から辿る。

「和歌とは「姿まちまちにして、一隅をまもりがた」き文芸であるとの認識は、……中略……歌道を宮中の遊宴から解放し、連歌や法会や民間歌謡の世界に解き放った歴史や、「天下の民ほとんど塗炭におちにき」という戦乱の世を経て「理世撫民之鴻徽」(新古今集・真名序)、「世を治め民をやはらぐる道」(同・仮名序)としての和歌の道の重要性に気づいた歴史を踏まえて人々の到り着いた結論であった。」(「終章」より)

木村 尚志(きむら・たかし)


1979年生まれ。
福岡県福岡市出身。
東京大学大学院人文社会系研究科日本文化研究専攻日本語日本文学専門分野博士課程修了。博士(文学)。
現在、和洋女子大学人文学部日本文学文化学科准教授。
著書に、『和歌文学大系38 続古今和歌集』(共著、明治書院、2019年)がある。


序章 和歌史の「中世」をめぐって
 第一節 はじめに
 第二節 政治における〈対立の統一〉
 第三節 「本の心」
 第四節 「歌の本体」
 第五節 おわりに

第一部 中世和歌の始発

第一章 「夜の鶴」考―高内侍から西行へ
 第一節 はじめに
 第二節 高内侍の歌
 第三節 平宗盛の逸話
 第四節 訴嘆としての「鶴」の和歌表現
 第五節 おわりに
第二章 「塩湯浴」と歌林苑
 第一節 はじめに
 第二節 藤原定頼・公任・源道済
 第三節 塩湯浴の記録
 第四節 源俊頼・肥後
 第五節 歌林苑
 第六節 西行と守覚法親王
 第七節 頓阿と塩湯浴歌
 第八節 おわりに

第二部 古典からの表現摂取

第一章 「万葉集は只和歌の竈」考―藤原顕季の『万葉集』観とその継承
 第一節 はじめに
 第二節 『万葉集』の流布状況
 第三節 「和歌の竈」の出典
 第四節 『万葉集』と『古今集』
 第五節 中国、日本における竈神信仰
 第六節 おわりに

第二章 寂然と『伊勢物語』第八十三段―寂然の妹の出家の時期

第三章 後嵯峨院時代の和歌―古歌の表現への姿勢
 第一節 はじめに
 第二節 摂取してよい近き世の歌
 第三節 摂取すべきでない古歌
 第四節 おわりに
第四章 藤原為家と『伊勢物語』―後嵯峨院時代との関わりを中心に
 第一節 はじめに
 第二節 『宝治百首』における後嵯峨院と為家の『伊勢物語』摂取
 第三節 『続古今集』撰集と『伊勢物語』
 第四節 おわりに

第三部 歌枕論

第一章 新古今時代の歌枕―水無瀬をめぐって
 第一節 はじめに
 第二節 平安初期の水無瀬
 第三節 水無瀬の月と『伊勢物語』第八十二段
 第四節 歌枕「水無瀬山」
 第五節 水郷としての水無瀬の眺望
 第六節 おわりに
第二章 中世の旅と歌枕―浜名の橋を中心として
 第一節 はじめに
 第二節 平安時代の和歌と浜名の橋
 第三節 『最勝四天王院障子和歌』と『内裏名所百首』
 第四節 源光行と飛鳥井雅経の和歌
 第五節 鎌倉中期以降の展開
 第六節 羈旅歌の変容
 第七節 おわりに
第三章 西行と小野・大原―数奇をめぐって
 第一節 はじめに
 第二節 西行と寂然の贈答歌
 第三節 覚性法親王の小野・大原の歌
 第四節 真言宗小野流と歌枕「小野」
 第五節 おわりに
第四章 藤原俊成の「室の八島」詠の再解釈
 第一節 はじめに
 第二節 実方左遷説話の形成と室の八島
 第三節 源師仲の和歌への添削
 第四節 俊成の歌の典拠
 第五節 「空にまがへん」の解釈
 第六節 おわりに

第四部 宗尊親王論

第一章 宗尊親王の和歌―表現摂取の特質
 第一節 はじめに
 第二節 主題を変えている歌
 第三節 主題を変えていない歌
 第四節 「雅有三百首」からの摂取
 第五節 為家の先行歌摂取との比較
 第六節 おわりに
第二章 宗尊親王の和歌と『万葉集』
 第一節 はじめに
 第二節 御子左家の万葉歌学の影響
 第三節 宗尊親王の万葉摂取歌の特徴
 第四節 宗尊親王の和歌と『万葉集佳詞』
 第五節 おわりに
第三章 宗尊親王の和歌と『源氏物語』
 第一節 はじめに
 第二節 鎌倉将軍時代と京都送還後の源氏摂取の比較
 第三節 鎌倉時代の『源氏物語』享受との関係
 第四節 おわりに

第五部 語法論

第一章 中世和歌における助動詞「き」の表現史
 第一節 はじめに
 第二節 平安時代中期の用例
 第三節 院政期の用例
 第四節 新古今時代以降の用例
 第五節 おわりに
第二章 助詞「の」の表現機能―院政期・新古今時代の表現意識
 第一節 はじめに
 第二節 Aの歌について
 第三節 Bの歌について
 第四節 Cの歌について
 第五節 源定信の歌
 第六節 俊成卿女の歌
 第七節 式子内親王の歌
 第八節 おわりに

終章 『八雲御抄』の和歌史観を手がかりに
 第一節 はじめに
 第二節 「康和の時勢の粧ひ」
 第三節 歌論議の時代
 第四節 俊頼の歌観と政治
 第五節 おわりに―『後鳥羽院御口伝』の解釈

 初出一覧
 あとがき
 索引