枕草子つづれ織り
清少納言、奮闘す
土方洋一 著
2022年1月30日発行
定価 2,420円(10%税込)
四六判・並製・242頁
ISBN:978-4-909832-50-4
ほんとうに「随筆」かしら?
思い込みをリセットして読み直し!
記録者という役目を背負い、中宮定子のみやびな宮廷世界を綴らんと必死だった清少納言。
自慢話でも、ひけらかしでもない『枕草子』の真実の姿を探る。
「「随筆」とは一般的に、個人が自分の感じたことを自由な形式で書きつづった散文のことを言うが、『枕草子』を「随筆」だと言った瞬間に、それを書いた清少納言の個人としての発信、つまり「自分アピール」なのだという偏見に結びついてしまう危険性が生じる。」
書き下ろし
土方 洋一(ひじかた・よういち)
1954年、広島県生。
東京大学国文学科卒業。現在、青山学院大学文学部教授。
専攻は平安文学・物語論。
著書は、『源氏物語のテクスト生成論』(笠間書院)、『物語史の解析学』(風間書房)、『日記の声域 平安朝の一人称言説』(右文書院)、『物語のレッスン 読むための準備体操』(青簡舎)など多数。
はじめに
第一章 『枕草子』に近づくために
一 文章の形式
二 写本と章段番号について
三 清少納言の初出仕
四 美しい人、定子
五 『枕草子』はいかにして書き始められたか
六 「枕にこそははべらめ」
第二章 類聚、そして随想
一 類聚という方法
二 ことばのキャッチボール
三 様々な美意識が交錯する
四 春はあけぼの
五 「随想」と呼ばれる文章
第三章 中宮に仕えた日々
一 日記的章段とは何か
二 観察記録者としての清少納言
三 渉外担当としての役割
四 最後の華やぎ
五 中関白家の没落
六 孤立する清少納言
七 政変後の清少納言
八 過激化する言動
九 隠された事実
十 弱者への眼差し
十一 中宮定子の崩御
第四章 草子のゆくえ
一 記事の空白
二 上書きされる草子
三 それからの『枕草子』
四 清少納言という人
おわりに
主要参考文献
あとがき
平安京大内裏図・内裏図
章段索引
■朝日新聞の天声人語で紹介されました(2022年5月30日付)。
「言われてみれば、あれほど筆の立つ女性が、定子の急逝とともに事実上筆を折ってしまったのは不可解である。エッセイストなら盛衰余さず書き尽くしたいところ。」