スキマ歩きの日本語学 
言語変化のダイナミズムを紡ぐ 
金澤裕之 著

2022年7月30日発行
定価 5,500円(10%税込)
A5判・並製・316頁
ISBN:978-4-909832-59-7

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内容紹介著者紹介目次

研究対象から外れていた〝スキマ〟の領域を照らす

落語や漫才の口承芸をはじめ、見逃されていた分野の言語現象を取り上げ、価値ある素材へと生まれ変わらせた軌跡——

新しい観点で見直される単語や語法の数々。

「……型破りな一人の研究者の歩んできた軌跡を、その時時の著述物とともに眺め直してみるというのも、時には後進への参考になるかもしれないと考え、はなはだ不遜かとは思いながら、自ら選択した著作、及び、二つの書き下ろしについて若干の解説を付け加えながら、記述を改めて見直してみる形で、これまでの研究における紆余曲折の歩みをここに一冊にまとめてみた。」――「まえがき」より

金澤 裕之(かなざわ・ひろゆき)

1952年生まれ。
上智大学文学部新聞学科、及び、法政大学文学部哲学科卒業、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程(日本学専攻)修了。
岡山大学文学部助教授、横浜国立大学教育人間科学部教授を経て、現在、目白大学外国語学部教授。横浜国立大学名誉教授。
博士(文学)。

主な著書
『近代大阪語変遷の研究』(和泉書院、1998)、『留学生の日本語は、未来の日本語―日本語の変化のダイナミズム』(ひつじ書房、 2008)、『日本語教育のためのタスク別書き言葉コーパス』(ひつじ書房、2014〈編著〉)、『SP盤演説レコードがひらく日本語研究』(笠間書院、2016〈編著〉)、『SP盤落語レコードがひらく近代日本語研究』(笠間書院、2019〈編著〉)、『日本語の乱れか変化か―これまでの日本語、これからの日本語』(ひつじ書房、2021〈編著〉)。

まえがき

Ⅰ 模索期 テーマを求めて

振り返り
1 コミュニケーションの変容――人と人とを繋ぐもの
2 力士名
3 落語の上方弁と漫才の上方弁
4 各地の方言生活の特色――関西
5 話芸におけることばの伝承と変遷――上方落語『阿弥陀池』の場合

Ⅱ 邁進期 目標まっしぐら

振り返り
6 二十世紀初頭大阪口語の実態――落語SPレコードを資料として
7 『近代大阪語変遷の研究』——あとがき
8 録音資料の歴史とその可能性
9 「なかった」新考

Ⅲ 遍歴期 大きな回り道

振り返り
10 助動詞「ない」の連用中止法について
11 接続詞「そして」について
12 大学生活を充実に過ごすために……――新用法発生の契機に関する一考察
13 自然習得者の丁寧表現について
14 『留学生の日本語は、未来の日本語』——「まえがき」と「あとがき」

Ⅳ 恬静期 ふたたびデータに

振り返り
15 『日本語教育のためのタスク別書き言葉コーパス』——あとがき
16 『SP盤演説レコードがひらく日本語研究』——「あとがき」に代えて 文字化を巡るこぼればなし
17 大正~昭和前期における「‐な」型形容詞の定着過程——SP盤演説・講演レコードを資料として
18 各種録音資料に見る、方向・場所を表す「へ」格と「に」格
19 『SP盤落語レコードがひらく近代日本語研究』——あとがき
20 漢字使用の面から見た学習者の表現能力の向上

Ⅴ 展望 そして、これから

振り返り
21 若者の言葉から見た日本語の未来
22 補助動詞「こなす」の拡張について

出典一覧
あとがき
索引