尼ヶ﨑彬セレクション 2
花鳥の使 歌の道の詩学
尼ヶ﨑彬 著

2023年3月30日発行
定価 3,520円(10%税込)
四六判・上製・332頁
ISBN:978-4-909832-62-7
第2回配本

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内容紹介著者紹介目次書評

俊成、定家、宣長などの歌論を日本人論として繙く。

名著、待望の新訂版!
本書は、勁草書房版(1983年刊)に、松岡正剛氏の解説(『面影日本—千夜千冊エディション—』に加筆)を付して刊行するものです。

「颯爽たる一冊だった。「あや」をもって言葉をつかうとは。……見えていないものを見えさせる。この見方が秀抜だった。」(松岡正剛氏)

【シリーズラインナップ】
1 利休の黒 美の思想史 *既刊
3 日本のレトリック
4 ことばと身体

尼ヶ﨑 彬(あまがさき・あきら)
1947 年愛媛県生まれ。
東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退(美学芸術学専攻)。
東京大学助手、学習院女子短期大学助教授を経て2017 年まで同女子大学教授。
美学、舞踊学。
著書に、『利休の黒』(花鳥社、2022年)、『日本のレトリック』(筑摩書房、1988年)、『ことばと身体』(勁草書房、1990年)、『縁の美学』(勁草書房、1995年)、『ダンス・クリティーク』(勁草書房、2004年)、『近代詩の誕生』(大修館書店、2011年)、『いきと風流』(大修館書店、2017年)など。

Ⅰ 和歌のあや―序説に代えて―

 序 二つの詞―ただの詞とあや―
 1 二つの意味―こころとことはり―
 2 二つの付託法―比と興―
 3 三つの曖昧化
  (1)統辞の異常 (2)多義性 (3)引用
 結び

Ⅱ 心と物―紀貫之―

 序
 1 状況―和歌の没落と復権―
 2 方略―中国詩論との離別―
 3 本質規定―和歌現象の自律性―
 4 形式規定―修辞の要求―
 5 様式分類―六つの歌のさま―
 6 和歌の標準―思いと付託―
 結び

Ⅲ 世界を生む言葉

歌の道の自覚—藤原俊成—
 1 時代思潮
 2 歌の道
 3 語りえぬものの伝承
 4 虚構と現実
 5 作品の自立性
 6 俊成歌論の位置
物狂への道―藤原定家―
 序 数寄と道
 1 継承と創造
 2 空なる和歌
 3 幽玄体
 4 有心体
 結び

Ⅳ 不思議界の陀羅尼

「あはれ」と「艶」—心敬Ⅰ—
 序
 1 幻の程のよしあし
 2 無常とあはれ
 3 えんふかきことはり
冷えたる世界―心敬Ⅱ―
 序 花紅葉と氷
 1 心のあり方
 2 詞の構成
 3 世界の見え方
 結び

Ⅴ 世外の道

「物のあはれをしる」事—本居宣長—
 序 宣長と歌論
 1 「実用」と「あだ事」
 2 「事の心」と「事の意」
 3 「触るる」と「をしはかる」
 4 「物のあはれを知る」道
 結び
言葉に宿る神―富士谷御杖―
 序
 1 人道と神道
 2 神道と歌道
 3 直言と倒語
 4 表裏境神
 結び

あとがき〔勁草書房版〕
解説……松岡正剛
『セレクション版』のためのあとがき……尼ヶ﨑彬

「週刊読書人」(2023年6月9日)に書評掲載されました。
【評者 柿内正午氏】

「本書は、言葉にできないものを言葉によって表現するとはどういうことかという問いを巡って、紀貫之から富士谷御杖にまで連なる歌論を紐解き、和歌とは何かを問い続けた先人たちの実践を一種の求道として読解していく。」