尼ヶ﨑彬セレクション 3
日本のレトリック 
尼ヶ﨑彬 著

2023年5月31日発行
定価 2,970円(10%税込)
四六判・上製・252頁
ISBN:978-4-909832-63-4
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内容紹介著者紹介目次

「言葉のあや」(レトリック)のからくりとは。

「掛詞」「見立て」など和歌・俳句でのテクニックから現代の広告文にいたるまで、私たちが感動を覚えるときの心の仕組みを探る。
名著、待望の新訂版!

*本書は「ちくま学芸文庫」として1994年に筑摩書房から刊行されたもの(永田和宏氏の解説も収録)に一部改訂を施し、「『セレクション版』のためのあとがき」を付して、刊行するものです。

 

「……せっかく作り出された作品(現代短歌)がほとんど論議される機会もなく、消えていく運命にある。真に憂慮すべき問題であるだろう。尼ヶ﨑氏が定家の本歌取りを論じて、もっともラディカルに状況を照射するという例をこの1冊に見るように思う。……尼ヶ﨑氏の指摘は、古典和歌の歌論を語りながら、しかもそのまま現代短歌に直結するものであるところが魅力なのである。」
——永田和宏氏「解説」より

【シリーズラインナップ】
1 利休の黒 美の思想史 *既刊
2 花鳥の使 歌の道の詩学 *既刊
4 ことばと身体

尼ヶ﨑 彬(あまがさき・あきら)
1947 年愛媛県生まれ。
東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退(美学芸術学専攻)。
東京大学助手、学習院女子短期大学助教授を経て2017 年まで同女子大学教授。
美学、舞踊学。
著書に、『利休の黒』(花鳥社、2022年)、『花鳥の使』(復刊、花鳥社、2023年)、『ことばと身体』(勁草書房、1990年)、『縁の美学』(勁草書房、1995年)、『ダンス・クリティーク』(勁草書房、2004年)、『近代詩の誕生』(大修館書店、2011年)、『いきと風流』(大修館書店、2017年)など。

一 仕立て―仕組まれた場違い―

似て非なるもの
もじり
《場違い》の仕掛け
やつし

二 見立て―視線の変容―

見立てと隠喩
実現の見立て
想像の見立て
言外の意味
見顕し
枠組みの変更
もう一つの世界

三 姿―見得を切る言葉―

姿と心
再現と演示―演劇の場合―
演技する言菓

四 対句―意味に先立つ形―

レトリックの出発
対構成
対句と日本語
言霊の力

五 寄物陳思―思いに染まる言葉―

付託という詩法
和歌の代表作
象徴表現
物と心の遭遇

六 掛詞―話題の交錯―

多義性の遊戯
同音反復と一語二役
不透明な言葉
異質なものの結合
文脈による多義化

七 縁語―言葉の連鎖反応―

ゆかりの言葉
「寄合」のシステム
二つの詩作法
語の縁の諸相
言葉の運命

八 本歌取―創造のための引用―

独創と盗用
〈型〉の提示
〈操作〉の提示
頓阿の六様式
定家の本歌取

あとがき
解説……永田和弘

『セレクション版』のためのあとがき