大屋多詠子著『馬琴と演劇』

2019年2月28日発行
馬琴と演劇
大屋多詠子 著
定価:本体16,000円+税
A5判・上製・720頁
ISBN:978-4-909832-01-6

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稀代の作家・曲亭馬琴にとって、演劇はどのような存在であったのか。

馬琴や山東京伝など、江戸後期の戯作者たちを取り巻く当時の演劇界・出版界を横断的に、かつ立体的に捉えなおすことで、馬琴の創作活動の核心に迫る。
演劇は馬琴の血であり、肉であった。

資料 歌舞伎台帳『園雪恋組題』、黄表紙『加古川本蔵綱目』全文収録!


【著者紹介】
大屋多詠子(おおや・たえこ)
1976年生。1999年、東京大学文学部卒業。2007年、東京大学大学院博士課程満期退学。2009年、博士号(文学・東京大学)取得。東京大学文学部国文学研究室助教を経て、青山学院大学文学部准教授。共著に『読本【よみほん】事典―江戸の伝奇小説―』(笠間書院、2008年)。


【目次】

 凡例

序章

第一章 馬琴の小説観と演劇観

第一節 馬琴の演劇観と「勧善懲悪」―巷談物を中心に―
 はじめに
 一 「淫奔」の否定
 二 世話物から時代物へ
 三 敵役の矮小化
 四 善人の受難の理由
 五 「勧懲」の正不正
 おわりに
第二節 馬琴と近松
 はじめに
 一 近松の「勧懲」
 二 馬琴の「勧懲」と近松の「因果」
 三 『椿説弓張月』と近松の日本優位意識
 おわりに
第三節 馬琴の「人情」と演劇の愁嘆場
 はじめに
 一 演劇の「人情」描写に対する馬琴の批判
 二 演劇の「人情」描写に対する馬琴の評価と利用方法
 三 「義理」「人情」を描いた愁嘆場の利用
 四 類型としての「義理」「人情」の愁嘆場
 五 「人情」と「公道」
 おわりに
第四節 馬琴と忠臣蔵
 はじめに
 一 『夢想兵衛胡蝶物語』の『忠臣蔵』批判と『難波土産』
 二 『南総里見八犬伝』と『忠臣蔵』
 三 『加古川本蔵綱目』と『忠臣蔵』
 四 「罪を悪てその人を悪ず」と『難波土産』 ならびに名詮自性
 おわりに
第五節 馬琴の「小大の弁」
 はじめに
 一 小は大に服せらる
 二 『荘子』の「小大の弁」
 三 『孟子』の「小をもて大に易」
 おわりに

第二章 京伝・馬琴と読本の演劇化

第一節 『昔話稲妻表紙』の歌舞伎化と馬琴
 はじめに
 一 二代目嵐吉三郎と三代目中村歌右衛門
 二 「けいせい輝艸紙」
 三 「けいせい品評林」
 四 『昔話稲妻表紙』と『伊達競阿国戯場』の因果応報
 五 『昔話稲妻表紙』の歌舞伎化と馬琴
 おわりに
第二節 馬琴読本の演劇化―文化期の上方演劇作品における―
 はじめに
 一 文化年間の上方における馬琴読本の演劇化
 二 佐藤魚丸による馬琴読本の浄瑠璃化
 三 近松徳三による馬琴読本の歌舞伎化
 四 その他の作者による馬琴読本の歌舞伎化
 五 読本の演劇化と勧善懲悪
 おわりに
第三節 京伝・馬琴による読本演劇化作品の再利用
 はじめに
 一 浄瑠璃『玉黒髪七人化粧』(文化五年初演)と合巻『うとふ之俤』(文化七年刊)
 二 浄瑠璃『桜姫花洛鑑』(文化四年初演)と合巻『桜姫筆再咲』(文化八年刊)
 三 絵入根本『三勝櫛赤根色指』(文化八・九年刊)と読本『占夢南柯後記』(文化九年刊)
 おわりに 

第三章 読本演劇化をめぐる演劇界・出版界の諸相

第一節 読本作者佐藤魚丸
 はじめに
 一 蝙蝠軒魚丸・佐藤魚丸・佐川藤太・佐藤太
 二 読本作者としての魚丸
 三 魚丸による読本の浄瑠璃化の方法
 おわりに―丸派と演劇―
第二節 河内屋太助による絵入根本の出版と馬琴
 はじめに
 一 絵入根本というジャンルとその呼称
 二 河内屋太助の絵入根本と様式の確立
 三 河内屋太助板の馬琴作品
 四 河内屋太市郎・太次郎
 五 絵入根本における俳優・作者・画工と読本
 おわりに―丸派と河内屋太助―

第四章 馬琴と国家

第一節 馬琴・京伝読本における王権
 はじめに
 一 『松染情史秋七草』と馬琴の南北朝観
 二 『松染情史秋七草』と「お染久松」
 三 『双蝶記』と南北朝
 四 『双蝶記』と『奥州安達原』
 おわりに
第二節 京伝・馬琴読本における辺境―外が浜と鬼界島―
 はじめに
 一 東西の辺境
 二 外が浜と『善知安方忠義伝』
 三 鬼界島と『椿説弓張月』
 おわりに
第三節 馬琴の「武国」意識と日本魂
 はじめに
 一 馬琴の日本意識と「武の国」
 二 馬琴の描く武士と「武威」
 三 馬琴作品における「日本魂」
 おわりに
第四節 馬琴の古典再解釈―『椿説弓張月』と昔話・神話―
 はじめに
 一 馬琴の古典取材と考証
 二 「童話」の考証と古典
 三 「桃太郎」の考証と『椿説弓張月』
 四 日本武尊と為朝
 おわりに

第五章 馬琴と動物

第一節 馬琴と蟹―馬琴の名「解」をめぐって―
 はじめに―馬琴の戯号―
 一 「馬琴」と「解」と司馬相如
 二 馬琴著作における「蟹」
 三 馬琴と秋成
 おわりに
第二節 『南総里見八犬伝』の大鷲
 はじめに―浜路姫と大鷲―
 一 「鷲の噉ひ残し」と父娘の縁
 二 良弁上人と霊鳥
 三 『八犬伝』以前の系譜
 四 『八犬伝』と以後の展開
 おわりに―鷲に掠われるという天災―
第三節 『八犬伝』の政木狐と馬琴の稲荷信仰
 はじめに―『南総里見八犬伝』の政木狐―
 一 狐の報仇と乳母狐―古典の話型の利用―
 二 神獣としての政木狐―中国の文献の利用―
 三 現実空間との呼応―地誌の利用―
 四 他の馬琴読本における狐
 五 馬琴の稲荷信仰
 おわりに―河鯉家と真中家―

附篇

資料一 「けいせい輝艸紙」絵尽しと役割番付 影印・翻刻
資料二 「けいせい品評林」絵尽しと役割番付 影印・翻刻
資料三 『会稽宮城野錦繍』『鎮西八郎誉弓勢』『本町糸屋娘』梗概
  会稽宮城野錦繍/鎮西八郎誉弓勢/本町糸屋娘
資料四 歌舞伎台帳『園雪恋組題』翻刻
  梗概/役割番付/台帳翻刻(一冊目/二冊目/三冊目/四冊目/五冊目/六冊目)
資料五 『加古川本蔵綱目』影印・翻刻・注釈
資料六 文化年間読本演劇化年表

 初出一覧/あとがき/索引