女性の文章と近代
書きことばから見たジェンダー
出雲朝子著

2019年10月上旬発売予定
女性の文章と近代 書きことばから見たジェンダー
出雲朝子著
定価:本体3,500円+税
A5判・上製・272頁
ISBN:978-4-909832-05-4

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明治女性の書きことばから日本の性差を切り出す!

明治18年『女学雑誌』が創刊され、多くの女性が意欲的に論説文を執筆した。
漢字平仮名交じり文で書かれ、文体としては基本的に男性の論説文と同様な漢文訓読的要素を多く含んでいるが、女性ならではの特徴が存在する。
また、読者の寄稿文の分析に加えて、当時の女流作家たち、
 樋口一葉 跡見花磎 荻野吟子 中島俊子 佐々木豊寿 清水紫琴 若松賤子
の書きことばを初めて解析。
日本語の歴史をジェンダーの視点から捉えなおす。


【著者紹介】
出雲朝子(いずも・あさこ)
1936年3月29日生まれ
1968年 東京教育大学大学院博士課程(日本文学専攻)単位取得退学

青山学院女子短期大学名誉教授
専攻 日本語史(中世)、女性語

著書
『玉塵抄を中心とした室町時代語の研究』(桜楓社)
『中世後期語論考』(翰林書房)
『国語学史』(共著、笠間書院)


【目次】
 概観

●第一部 近代以前の文学作品以外の書きことばにおける性差
第一章 女性による実用的文書
第二章 近世における女性の論説文(一) 井上通女の文章
  和文・漢学に優れた才女/漢文体の女性の生き方論①『処女賦』/
  漢文体の女性の生き方論②『深閨記』/和文体の著作/文体による語彙の差/
  文体による文法的な差/文体による自称詞の違い
第三章 近世における女性の論説文(二) 只野真葛の文章
  独創的な思想と文体/教養のある両親のもとで育つ・父に漢学の学習を禁止される/
  嫁いで仙台へ下る/独創的論説『独考』/儒教への疑問/
  当時の政治・経済に対する批判/現実を解くキーワード「天地の拍子」/
  真葛の文章・俗文体/同時代の男性の論説文の文章/
  漢学の素養に欠けた真葛の文章の問題点/和文体の文章
  自称詞としての「真葛」「あや子」の使用/自称詞「私」の省略形「ワ」の使用/
  真葛の文体と思想

●第二部 明治初期における女性の文章表現 女性の投書文 ―明治十年代前半まで―
第一章 『読売新聞』の投書文
  『読売新聞』の投書募集
第二章 論説的な文章(一) 「男女同権」についての論
  「男女同権」という用語/「男女同権」という語の初出例/女性による男女同権論/
  「隠居婆々」の意見/「辻の婆々」の意見/「隠居の尼」の意見/主婦の意見/
  娼妓の意見/男性による男女同権論/男女による文体の差
第三章 論説的な文章(二) 教育論
  旧来の躾の批判/小学校についての論/京都の女紅場/東京の女学校/
  東京の女学生の投書/男性の躾論・教育論
第四章 論説的な文章(三) 経済・戸籍についての論
  商売のあり方についての論/戸籍についての論
第五章  女性の投書文の特徴  男性の投書文との比較
  女性の自称詞/娼妓の自称詞/男性の自称詞/女学生の「僕」「君」/
  七歳の姪の使う「僕」

●第三部 明治前期における女性の論説的文章 『女学雑誌』を中心に
      ―明治十年代末から二十年代半ばまで―
第一章 『女学雑誌』の論説文(一) 読者の文章
  第一号所載の三人の読者の文章/芦野明日香の文章①七五調の和文体/
  芦野明日香の文章②漢文訓読体の文章/
  芦野明日香の文章③漢語を交えた七五調の文章/
  芦野明日香によるさまざまな文体の使用
第二章 『女学雑誌』の論説文(二) 跡見花蹊・荻野吟子
 (一)跡見花蹊
  私塾を営む家に生まれ、東京に跡見女学校を開く/跡見女学校移転の挨拶文/
  跡見女学校移転開校式の祝文/明治天皇皇后誕生日の祝文/学生に向けた文章/
  口語体の論説文
 (二)荻野吟子
  近代日本最初の女医/口述筆記「一日間の衛生」/
  文語体の論説「一月衛生の注意」/本格的な論説「本邦女医の由来及其前途」/
  漢文訓読語を多用した論説文体
第三章 『女学雑誌』の論説文(三) 中島俊子・佐々木豊寿
 (一)中島俊子(湘煙)
  民権運動に近づき、男尊女卑を批判/
  「世の良人たるものに望む」漢字片仮名交じり文と漢字平仮名交じり文/
  自称詞の「余よ」と「妾しょう」/『女学雑誌』のルビの問題/
  自称詞「妹まい」の使用/随想や小説などの文体
 (二)佐々木豊寿
  仙台から上京、東京で学ぶ/代表的論文「積年の習慣を破るべし」/文体と自称詞/
  口語体で書かれた論文/口述筆記された演説
第四章 『女学雑誌』の論説文(四) 清水紫琴
  経歴/『東洋之婦女』序文/日本の女性の問題の根本を指摘/漢学の素養/
  「敢て同胞兄弟に望む」『興和の友』発表文/「敢て同胞兄弟に望む」草稿/
  発表文と草稿との比較/最初の本格的論文「日本男子の品行を論ず」/
  「一夫一婦の建議に就ての感を述べ満天下清徳の君子淑女に望む」/
  梅生「一夫一婦の制限の非を論ず」…男性による一夫多妻容認論/
  紫琴の反論「謹んで梅先生に質す」/上京、『女学雑誌』社入社、主筆となる/
  「何故に女子は、政談集会に参聴することを許されざる乎」…「集会及政社法」への反論/
  紫琴の論説文の文体/「泣て愛する姉妹に告ぐ」…女性の議会傍聴禁止に対する反論/
  漢文訓読語的特徴/板垣退助訪問記/「当今女学生の覚悟如何」/
  巌本善治による女学生論/「慈善の事業」/「女文学者何ぞ出ることの遅きや」/
  「図書館に到りての感」/読みやすい論説文/「誰が田」/
  夫婦別姓の主張…読者の質問への回答/
  紫琴の『女学雑誌』「訪問記」における自称詞
第五章 『女学雑誌』の論説文(五) 若松賤子
  経歴/唯一の漢文訓読体論説「時習会の趣意」/時習会三周年記念日の英文挨拶/
  英文論文「日本における女性の地位」/日本語訳「日本における女性の地位」/
  『日本伝道新報』掲載の英文の小論/
  候文の論説/言文一致体の論説…編集者の質問に答える
第六章 明治前期における女性の論説的文章
  漢字平仮名交じり文/漢文訓読体の使用・自称詞の問題/紫琴の多様な自称詞/
  自称詞「儂」/その他の自称詞/自称詞と待遇的価値/男性の自称詞
付章 明治前期における女性の手紙の文章
  近代以前の例…毛利元就関連の手紙/樋口一葉『通俗書簡文』/
  樋口一葉自身の手紙/男性の一葉宛ての手紙/一葉の漢文的表記の多い手紙/
  与謝野寛・晶子の手紙/谷川徹三・多喜子の手紙/明治の女学生…高橋貞の手紙/
  師範学校入学後最初の手紙・候文/最初の口語文の手紙/
  候文中口語文が交じる手紙/父宛の手紙…候文/母宛の手紙…口語文/
  文章・表記の平易化

 参考文献目録/あとがき/索引