歌合を読む 
試みの和歌論 
錦仁 著

2022年4月30日発行
定価 3,960円(10%税込)
A5判・上製・392頁
ISBN:978-4-909832-57-3

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内容紹介著者紹介目次

和歌は、日本の「美」と「政」を運命づけた。

左右二首のどちらが優れているか、美しいか。
平安時代「歌合」の勝負判定を検討し、「古今和歌集」仮名序の流れを引く源俊頼、藤原俊成、藤原定家らの歌論から、江戸時代の地方藩主の歌の稽古や名所づくりまで、和歌の国「日本」を解き明かす。

〈うた〉を読むおもしろさがわかる!

錦 仁(にしき ひとし)

昭和22年(1947)、山形県生まれ。
東北大学文学部文学研究科博士課程中途退学。
聖和学園短期大学助教授、秋田大学教育学部教授を経て、1996年、新潟大学人文学部教授、同現代社会文化研究科教授。2013年、名誉教授。
博士(文学)。

主要著書
『中世和歌の研究』(桜楓社)、『在地伝承の世界【東日本】』(三弥井書店。徳田和夫・菊地仁)、『秋田県の民俗芸能』(秋田県教育委員会。井上隆明・齋藤壽胤ほか)、『東北の地獄絵』(三弥井書店)、『浮遊する小野小町』(笠間書院)、『小町伝説の誕生』(角川書店)、『金葉集/詞花集』(明治書院)、『なぜ和歌を詠むのか』(笠間書院)、『宣教使堀秀成』(三弥井書店)など。

歌合とはどのようなものか

歌合と洲浜

1 洲浜の風景
2 天皇と洲浜
3 庭園と洲浜

判者の資格

1 判者の資格
2 歌は神から人へ
3 歴史・国土・和歌
4 歌ことば
5 和歌と国土 

歌声

1 歌は音声
2 神仏と歌声
3 歌は神が与える
4 歌合に出す歌

歌論

1 心・詞・姿
2 心と姿―神の顕現
3 歌は姿をもち心がある
4 姿を作り上げる
5 及ぶまじき姿
6 歌の姿
7 姿―仏像を建立するごとく
8 歌の影
9 鳥の翼のような詞と心
10 和歌の力
11 見るもの聞くものにつけて 
12 歌の心をつかむ
13 歌題の詠み方

歌合

1 対の思想
2 歌の根本へ
3 声で人柄がわかる
4 和歌を作ってみる

判詞

1 俊成と頼政の叙景歌
2 歌合のルール
3 歌の病

源俊頼の判詞

1 「すべらか」に詠むべし
2 題詠論 

藤原俊成の判詞

1 古今集主義
2 音楽の力
3 定型の内部に音楽
4 俊成と定家
5 和歌に身を委ねる
6 音義説と似る
7 和歌と音楽
8 声わざとの違い
9 楽器のような和歌

「ふるまふ」歌

1 国の理念
2 「ふるまふ」歌のあやうさ
3 「ふるまふ」と「やすらか」
4 和歌らしい「心」
5 「ふるまふ」歌の評価

歌合の歌

1 評価される歌
2 歌合を挙行する
3 歌合にふさわしい歌
4 判者になってみる

本歌取り

1 本歌を思う
2 新しい歌
3 本歌の「二句以上三、四字」まで
4 「句」の文学
5 本歌と新歌が交響する
6 和歌と短歌

風俗

1 和歌は我が国の「たはぶれあそび」
2 和歌の根本
3 不変の「歌の心」
4 和歌の起源
5 歌の代作
6 和歌のある所が日本

稽古

1 古歌を学ぶ
2 和歌に師匠なし
3 稽古に励む
4 藩主の歌

歌枕と名所

1 歌合では歌枕・名所の知識が求められた
2 幻想の歌枕
3 歌は旅へ誘う
4 名所の詠み方
5 歌枕の現地で歌を味わう
6 実景という肉体
7 風景の発見―和歌から俳諧へ
8 伝統遵守の和歌―象潟
9 俊成の工夫、西行の旅
10 日本は和歌の国
11 藩内に名所をつくる

和歌の基底

1 全国に歌を詠む名所がある
2 「歌の心」と「人の心」
3 西行に向き合う俊成
4 俊成と西行
5 歌合を再び―連載のおわりに

 本書に関連のある筆者の著書・論文
 あとがき
 索引(和歌初二句/歌合・歌学書・その他/歌人・人名)