古典文学研究の対象と方法
佐々木孝浩・佐藤道生・高田信敬・中川博夫 編
2024年3月25日発行
定価:20,900円(10%税込)
A5判・上製・932頁
ISBN:978-4-909832-85-6
上代から近世まで、38名の研究者による、文献に基づく実証的な論考群。
対象が明示されているもの、そうではないもの。方法論が表立つもの、そうではないもの。それら全体が、古典文学研究の対象と方法のありようを、浮かび上がらせる。
佐々木 孝浩 ささき たかひろ *編者
慶應義塾大学附属研究所斯道文庫教授
著書・論文:『日本古典書誌学論』(笠間書院、2016年)、『芳賀矢一「国文学」の誕生』(岩波書店、2021年)など。
佐藤 道生 さとう みちお *編者
慶應義塾大学名誉教授
著書・論文:『句題詩論考』(勉誠出版、2016年)、『日本人の読書 古代・中世の学問を探る』(勉誠社、2023年)など。
高田 信敬 たかだ のぶたか *編者
鶴見大学名誉教授
著書・論文:『源氏物語考証稿』(武蔵野書院、2010年)、『文献学の栞』(武蔵野書院、2020年)など。
中川 博夫 なかがわ ひろお *編者
鶴見大学文学部教授
著書・論文:『中世和歌論』(勉誠出版、2020年)、「北条政村の和歌の様相」(『鶴見大学紀要(日本語・日本文学編)』61、2024年3月)など。
■収録順
久保木 秀夫 くぼき ひでお
日本大学文理学部教授
著書・論文:『中古中世散佚歌集研究』(青簡舎、2009年)、「『伊勢物語』小式部内侍本に関する古筆資料二点」(『国文鶴見』58、2024年3月)など。
石澤 一志 いしざわ かずし
鶴見大学・大妻女子大学他非常勤講師
著書・論文:『風雅和歌集 校本と研究』(勉誠出版、2015年)、「九州大学附属図書館蔵細川文庫本『風雅和歌集』─消えた奥書と伝称筆者─」(『 国文鶴見 』57、2023年3月 )など。
山本 まり子 やまもと まりこ
鶴見大学文学部准教授
著書・論文:『平安時代書写 和漢朗詠集 校異と研究[研究篇]』(お茶の水女子大学附属図書館〈E-bookサービス〉、2021年)、「鶴見大学図書館蔵 伝後京極良経筆和漢朗詠集について」(『書物学』25、勉誠社、2024年3月)など。
中島 正二 なかしま しょうじ
洗足学園中学高校教諭
著書・論文:『中世王朝物語『白露』詳注』(共著、笠間書院、2006年)、「『古とりかへばや』は駄作か」(横溝博・金光桂子編『中世王朝物語の新展望 時代と作品』花鳥社、2023年)など。
池田 三枝子 いけだ みえこ
実践女子大学文学部教授
著書・論文:「平城京―歌表現と政治理念―」(『国語と国文学』87-11、2010年11月)、「万葉集と〈皇子文化圏〉」(『水門』、2011年8月)など。
新沢 典子 しんざわ のりこ
鶴見大学文学部教授
著書・論文:『万葉歌に映る古代和歌史―大伴家持・表現と編纂の交点―』(笠間書院、2017年)、「万葉集の文字を考える―修辞との関わりをめぐって―」(『上代文学』130、2023年4月)など。
幾浦 裕之 いくうら ひろゆき
国文学研究資料館古典籍共同研究事業センター特任助教
著書・論文:「『たまきはる』の成立と奥書―定家と女房の書写活動との関連性―」(『日本文学』72-2、2023年2月)、「歌人が年齢を詠むとき―表現と契機の性差―」(『日本文学』68-2、2019年2月)など。
田口 暢之 たぐち のぶゆき
鶴見大学文学部准教授
著書・論文:「俊成卿女の初学期の詠法―千五百番歌合百首を中心に―」(『和歌文学研究』108、2014年6月)、「『千五百番歌合』の伝本と本能寺切」(『国文鶴見』58、2024年3月)など。
川上 一 かわかみ はじめ
国文学研究資料館研究部助教
著書・論文:「『室町殿御発句』再考」(『中世文学』68号、2023年6月)、「『東山殿御詠』の基礎的研究」(『斯道文庫論集』57輯、2023年2月)など。
小川 剛生 おがわ たけお
慶應義塾大学文学部教授
著書・論文:『二条良基』(人物叢書、吉川弘文館、2020年)、『中世和歌史の研究 撰歌と歌人社会』(塙書房、2017年)など。
一戸 渉 いちのへ わたる
慶應義塾大学附属研究所斯道文庫教授
著書・論文:『上田秋成の時代』(ぺりかん社、2012年2月)、『橋本経亮旧蔵香果遺珍目録』(慶應義塾大学三田メディアセンター、2021年3月)など。
新田 奈穂子 にった なおこ
鶴見大学非常勤講師
著書・論文:「『顕注密勘』考―顕昭注と『和歌色葉』中巻・下巻との関わりをめぐって―」(『三田國文』65、2020年12月)、「『顕注密勘』の顕昭注の成立時期再考」(『三田國文』66、2021年12月)など。
渡邉 裕美子 わたなべ ゆみこ
立正大学文学部教授
著書・論文:『新古今時代の表現方法』(笠間書院、2010年)、「彷徨する寂蓮―寿永百首家集『寂蓮集』雑部をめぐって―」(『私家集―和歌と自己語り―』日本文学研究ジャーナル20、古典ライブラリー、2021年12月)など。
舘野 文昭 たての ふみあき
埼玉大学大学院人文社会科学研究科准教授
著書・論文:『中世「歌学知」の史的展開』(花鳥社、2021年)など。
栗本 賀世子 くりもと かよこ
慶應義塾大学文学部准教授
著書・論文:『平安朝物語の後宮空間』(武蔵野書院、2014年)、『はじめて読む源氏物語』(共著、花鳥社、2020年)など。
平藤 幸 ひらふじ さち
文部科学省教科書調査官
著書・論文:『平家物語 覚一本 全』(共著、武蔵野書院、2013年)、「新出『平家物語』長門切の紹介と考察」(『国文鶴見』58、2024年3月)など。
小秋元 段 こあきもと だん
法政大学文学部教授
著書・論文:『増補太平記と古活字版の時代』(新典社、2018年)、『太平記新考』(汲古書院、2024年)など。
河田 翔子 かわた しょうこ
鶴見大学非常勤講師・国文学研究資料館プロジェクト研究員
著書・論文:「大和国武蔵野異聞―中世古今集注・伊勢物語注から人情本まで―」(『国文鶴見』53、2019年3月)、「勧修寺本「古今和歌集注」論続貂」(『国文鶴見』54、2020年3月)など。
杉山 和也 すぎやま かずや
順天堂大学スポーツ健康科学部助教
著書・論文:『南方熊楠と説話学』(平凡社、2017年)、『野村太一郎の狂言入門』(共著、勉誠社、2023年)など。
高橋 悠介 たかはし ゆうすけ
慶應義塾大学附属研究所斯道文庫教授
著書・論文:「伝貞慶編『舎利勘文』小考」(『斯道文庫論集』58、2024年2月)、「千字文説草とその特色―亡息・亡息女供養の説草を中心に―」(『仏教文学』45、2020年4月)など。
宇野 瑞木 うの みずき
専修大学文学部講師
著書・論文:『孝の風景―説話表象文化論序説―』(勉誠出版、2016年)、『和漢のコードと自然表象―十六・七世紀の日本を中心に―』(共編、勉誠出版【アジア遊学】、2020年)など。
伊倉 史人 いくら ふみと
鶴見大学文学部教授
著書・論文:『金葉和歌集』(共著、岩波書店、2023年)、「『古今和歌集序鈔』(小幡正信注)について」(『国文鶴見』54、2020年3月)など。
堀川 貴司 ほりかわ たかし
慶應義塾大学附属研究所斯道文庫教授
著書・論文:『詩のかたち・詩のこころ 中世日本漢文学研究』(補訂版、文学通信、2023年)、「五山文学における水仙のイメージ」(『国語と国文学』第101巻第3号、2024年3月)など。
山田 尚子 やまだ なおこ
成城大学文芸学部准教授
著書・論文:『中国故事受容論考 古代中世日本における継承と展開』(勉誠出版、2009年)、『重層と連関 続中国故事受容論考』(勉誠出版、2016年)など。
合山 林太郎 ごうやま りんたろう
慶應義塾大学文学部教授
著書・論文:『大沼枕山と永井荷風『下谷叢話』―新視点・新資料から考える幕末明治期の漢詩と近代―』(編著、汲古書院、2023年)、『幕末・明治期における日本漢詩文の研究』(和泉書院、2014年)など。
住吉 朋彦 すみよし ともひこ
慶應義塾大学附属研究所斯道文庫教授
著書・論文:『中世日本漢学の基礎研究 韻類編』(汲古書院、2012年)、「『元治増補御書籍目録』翻印と解題」(『斯道文庫論集』56-58、2022-24年2月)など。
生田 慶穂 いくた よしほ
山形大学人文社会科学部准教授
著書・論文:「最上義光と里村紹巴の接点 ─文禄二年のふたつの連歌─」(『日本文学研究ジャーナル』19、2021年9月)、連歌注釈書刊行会編『百韻連歌撰注釈 第一巻』(新典社、2023年)など。
深沢 了子 ふかさわ のりこ
聖心女子大学現代教養学部教授
著書・論文:『近世中期の上方俳壇』(和泉書院、2001年)、『宗因先生こんにちは 夫婦で『宗因千句』注釈 上』(共著、和泉書院、2019年)など。
牧 藍子 まき あいこ
成蹊大学文学部准教授
著書・論文:『元禄江戸俳壇の研究 ―蕉風と元禄諸派の俳諧―』(ぺりかん社、2015年)、「宝永期の許六連句の一手法―「すべり」の分析―」(『連歌俳諧研究』144、2023年3月)など。
金 文京 きん ぶんきょう
元鶴見大学教授
著書・論文:『漢文と東アジア―訓読の文化圏―』(岩波新書、2010年)、『李白―漂泊の詩人その夢と現実―』(岩波書店、2012年)など。
加藤 弓枝 かとう ゆみえ
名古屋市立大学大学院人間文化研究科准教授
著書・論文:「六位の書肆吉田四郎右衛門―出版活動の実態と古学の伝播に果たした役割―」(『近世文藝』102、2015年7月)、「正保版『二十一代集』の変遷―様式にみる書物の身分― (付)八尾助左衛門・勘兵衛・甚四郎出版略年表」(『雅俗』19、2020年7月)など。
遠藤 佳那子 えんどう かなこ
鶴見大学文学部准教授
著書・論文:『近世後期テニヲハ論の展開と活用研究』(勉誠出版、2020年)、「文語訳聖書における「死ねり」」(『New聖書翻訳』No.9、2024年3月)など。
神林 尚子 かんばやし なおこ
大妻女子大学文学部准教授
著書・論文:『幕末・明治期の巷談と俗文芸 ―女盗賊・如来の化身・烈女―』(花鳥社、2023年)、「安永期の際物黄表紙と異例製本―「一丁表」のありか―」(『日本文学研究ジャーナル』26号、2023年6月)など。
佐藤 かつら さとう かつら
青山学院大学文学部教授
著書・論文:『歌舞伎の幕末・明治―小芝居の時代―』(ぺりかん社、2010年)、「女役者と近代―その出発点―」(『アジア遊学232 東アジア古典演劇の伝統と近代』勉誠出版、2019年3月)など。
まえがき
本のこと——書物・伝本・断簡——
伝寂蓮筆六半切『古今和歌集』断簡——藤原基俊本に関わる本文の集成と補考——◉久保木秀夫
尊円親王筆『風雅和歌集』断簡 拾遺——『風雅和歌集 校本と研究』補遺(二)——◉石澤一志
勅撰和歌集と巻子装 続稿◉佐々木孝浩
『和漢朗詠集』粘葉本と近衛本との関係——文字の崩し方・書に関する考察——◉山本まり子
『源氏物語歌合』丙本に関する若干の考察◉中島正二
和歌と歌学
万葉集の文学圏——有間皇子詠と追和歌群の採録——◉池田三枝子
類聚古集長歌の片仮名訓◉新沢典子
歌合判者が自歌を判ずるとき——俊成と定家の判詞を中心に——◉幾浦裕之
『俊成卿女集』自撰部と『源氏物語』——巻頭・巻軸歌群再読——◉田口暢之
久明親王の和歌◉中川博夫
歌会作法の変遷——飛鳥井家一首懐紙三行五字説を例に——◉川上一
室町・戦国の武家と歌合——冷泉為和判歌合をめぐって——◉小川剛生
将軍への詩歌献上——寛政三年中秋良夜詩歌をめぐって——◉一戸渉
『顕注密勘』の「今案」◉新田奈穂子
『毎月抄』の〈読者〉考◉渡邉裕美子
「冷泉家流伊勢物語古注」はいかなる意味で「冷泉家流」か◉舘野文昭
物語・随筆・説話
里人は車きよげに——『枕草子』の表現基盤——◉高田信敬
入内拒否をめぐる天皇・東宮側の反応——竹取・うつほから源氏物語へ——◉栗本賀世子
『平家物語』伝貞敦親王筆切——紹介と考察——◉平藤幸
活字から見た嵯峨本——『徒然草』とその前後——◉小秋元段
小松帝説話をめぐって◉河田翔子
ポルトハイム財団民族学博物館蔵『舌切雀絵巻(仮)』について——嶺田楓江と舌切雀説話——◉杉山和也
湛睿説草と『発心集』『唐物語』◉高橋悠介
雲に乗る織女の誕生——董永説話の織女イメージの変容をめぐって——◉宇野瑞木
漢詩と漢学
王朝漢語の源泉——句題詩の世界——◉佐藤道生
干支異名考——観世流謡本「正保耶査本」を契機として——◉伊倉史人
祇園南海作新井白石六十寿賀詩について◉堀川貴司
姮娥奔月の故事と破題表現——「偸艶」の背景——◉山田尚子
五弓雪窓の見た明治初期東京漢詩文壇——関西大学図書館蔵『晩香館日記』を手がかりに——◉合山林太郎
古城坦堂蔵書の旧蔵者について◉住吉朋彦
連歌と俳諧
「乱れ碁」と盤上遊戯乱碁と囲碁——正徹を起点とする連歌表現とその源氏寄合化——◉生田慶穂
宗因「春やあらぬ」連歌百韻考——前書「奥州紀行」との関わりを中心に——◉深沢了子
許六自筆「詩句文巻」からみる彦根蕉門の幕開け◉牧藍子
森川許六『和訓三体詩』序跋にみえる歌論と詩論について◉金文京
近世の雅俗
小沢蘆庵と松村呉春の画賛——作品としての書簡——◉加藤弓枝
義門『活語指南』における和歌の俗語訳◉遠藤佳那子
盗賊「柿木金助」の系譜——金の鯱の鱗を盗んだ男——◉神林尚子
九女八の「高橋お伝」◉佐藤かつら
執筆者紹介