新訳うたたね 
島内景二 著

2023年2月28日発行
定価:1,980円(10%税込)
四六判・並製・220頁
ISBN:978-4-909832-70-2

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内容紹介著者紹介目次

NHK第二2023年4月から再び「古典講読・日記文学をよむ」を担当。

「阿仏(尼)」が十代の若かりし頃に体験した〈恋ー失恋〉〈出家ー隠棲〉〈旅〉をつぶさに語る
『うたたね』は、日本文学の日本文学たる核心を現代人につきつける。

「この作品は「中世日記紀行文学」というジャンルに含まれるが、『更級日記』と同様に『源氏物語』
の強い影響下にある。つまり、「源氏文化」が生み出した初期の名作なのである。」

ーー『源氏物語』は二百年後の読者にとっては、言葉も時代背景も、和漢の膨大な教養も、注釈書の
助け無しには読めなくなっていた。研究的な注釈書に導かれなければ、『源氏物語」を耽読し、一流
の文学者・文化人に成長してゆくことはできなくなっていた。そして、この時代に、女性として、その
達成を遂げたほとんど最初の文学者が阿仏尼だった。

【好評既刊】
新訳紫式部日記(定価2,640円、2022年2月刊)
新訳蜻蛉日記上巻(定価1,980円、2021年5月刊)
新訳和泉式部日記(定価1,870円、2020年10月刊)*品切れ
新訳更級日記(定価1,980円、2020年3月刊)

島内 景二(しまうち けいじ)

1955年長崎県生

東京大学文学部卒業、東京大学大学院修了。博士(文学)

電気通信大学名誉教授

2020年4月から、NHKラジオ第2 古典講読「王朝日記の世界」を担当。2023年4月から再び「古典講読・日記文学をよむ」を担当予定。

主要著書
『新訳紫式部日記』『王朝日記の魅力』『新訳 蜻蛉日記上巻』『新訳 和泉式部日記』『新訳 更級日記』『和歌の黄昏 短歌の夜明け』(いずれも、花鳥社)、
『塚本邦雄』『竹山広』(コレクション日本歌人選。共に、笠間書院)
、『源氏物語の影響史』『柳沢吉保と江戸の夢』『心訳・鳥の空音』(いずれも、笠間書院)
、『北村季吟』『三島由紀夫』(共に、ミネルヴァ書房)
、『源氏物語に学ぶ十三の知恵』(NHK出版)、
『大和魂の精神史』『光源氏の人間関係』(共に、ウェッジ)
、『文豪の古典力』『中島敦「山月記伝説」の真実』(共に、文春新書)
、『源氏物語ものがたり』(新潮新書)、
『御伽草子の精神史』『源氏物語の話型学』『日本文学の眺望』(いずれも、ぺりかん社)、
歌集『夢の遺伝子』(短歌研究社)

はじめに……『うたたね』への誘い

Ⅰ 北山を出奔……ある恋の終わり

0 標題と作者
1 私は、忘れられた女
2 私は、待つ女
3 太秦詣でと法金剛院の紅葉
4 あの人からの来信
5 夕暮れの訪れと、暁の別れ
6 あの人の正妻の死去
7 あの人は、私の「光る君」
8 恋の道と、仏の道と
9 出家の決意
10 出家の前に、あの人からの手紙を読み返す
11 自ら、髪の毛を切り落とす
12 逡巡しつつも、屋敷を逃れ出る

13 道に迷い、行き暮れる
14 松の木の下で、救いの手が

Ⅱ 西山と東山での日々……籠もりの果てに

15 出家を遂げる
16 心に沁みる鈴の音
17 あの人への複雑な感情
18 洪水の記憶
19 呉竹の風
20 思い切って、あの人へ手紙を出す
21 尼寺から愛宕に移る
22 十六夜の月
23 笛の音に、あの人を思う
24 北山の麓の屋敷に戻る
25 悲しみは尽きない

Ⅲ 東下りと帰京……ある旅の記録

26 海道下りを思い立つ
27 近江の野路で雨に降られる
28 美濃・尾張の境にある墨俣の渡り
29 尾張の鳴海
30 三河の八橋
31 遠江の浜名
32 目指す目的地に辿り着く
33 富士山が見える日々
34 帰京を決意する
35 帰路、不破の関で
36 近江の鏡山
37 都を目前にして
38 乳母との再会
39 この日記の結びに

あとがき